孤独なからす
屋根の上の一羽のからす
たった一人で鳴いていた
空は青く蒼く輝いて、黒い羽を焼き付ける
飛び立つ勇気など、孤独なからすにあるわけなくて
飛び交う鳥たちを、ただ独りで眺めてた
泣き喚くことさえできず
沈みゆく真っ赤なあいつに一言文句をつけた
桜の上の一羽のからす
たった一人で眺めてた
花は赤く白く照らされて、醜い目をそらさせる
叫びあげる勇気など、孤独なからすにあるわけなくて
心見せつける鳥たちを、たった独りで眺めてた
嘆き壊れることさえせずに
流れゆく白いあいつに連れてってくれと願った
黒い黒い羽を晒し続ける
怖い恐い何かをなくしてしまった
皆どこかへと飛び立った
ここに残るのは飛び立つ勇気のないからすだけ
赤いあいつは姿を消して白いあいつもどこかへ消えた
暗い暗い空はからすと同じ黒い色
一つ一つが光る、小さなあいつら笑ってる
にらんでもなにも変わらなくてただただからすを眺めてる
苛立たしげに光るあいつらに文句をつけた
返事はなかった
光るあいつらはまだ笑ってる
届くわけがないのに叫んでた
泣きながら鳴いていた
「醜い俺を見るな」
自分を恨んだ、何でもっと早く、
認めなかった、みとめられなかった
寂しいだけだった、独りにされるのが
もう間に合わないかもだけど
届かないかもだけど
気がついちゃったから
からすは羽を伸ばし
弱々しく羽ばたいた