陽菜の恋が終わりました。
プルルルルル、プルルルルル……
むなしくなり続けるベル。
それでも携帯を耳にあてていた陽菜に、無情にも「現在電話に出られません」という音声が流れる。
恋が一つ終わってしまった。
あんなに切れないと思っていた貴宏をあっさりと切らせた男、章。
好きだとストレートに言われ、付き合うことになったのは、たった1週間前。
2、3日は連日会っていたのに、急にぱったりと連絡が途絶えた。
男友達の忠告に従って、やめておけばよかったのか。
分かっていても、出来なかった。
陽菜の気持ちは、すでに戻れないところまで行ってしまっていた。
諦めている。
でも諦めきれない。
章から連絡があれば、ご機嫌で電話に出ることだろう。
情けない自分。
次の恋を探せば良いのだろうか。
傷つき、倒れ、杖をつきながら、それでも前に進むしかないのだ。