Scena 4 情報源
久々の更新です。ハイ。
とりあえず、以下からどうぞ。
無駄に広い校舎の最上階角部屋。とある背ェ高ノッポの眼鏡男子がそこに向かっていた。
「おい川崎! どういうことだこれはっ!!」
「ふぇ?」
ガラッとドアを勢いよく開けて、眼鏡男子アキラは中にいる人物を問いただした。その腕に抱きついているのは見ているだけで癒されそうなイケメンの藍川。先程までは口元を赤く汚していた、吸血鬼と言われる生物だ。
それを見て、部屋の中でカップラーメンを食べていた男子生徒―――川崎実は目を白黒させていた。
「ふぇ? じゃねぇ! この前お前が言っていたこと、全部でたらめじゃねえか!!」
アキラは再度詰め寄って、川崎の顔の数センチ前で睨み付けた。
「アキラ、この人誰? アキラの恋び……」
「うるさい藍川。黙れ。んなわけあるか」
川崎は目の前のアキラの顔をじっと見ながら、そのやり取りを聞いていた。
そして、首をかしげて言う。
「藍川? あー、A組の転入生? 嫌だな、アキラ君。この前のはB組の転入生の話だよ」
購買で買ったであろうカップラーメンをすすって、川崎は言った。その笑顔のムカつくことムカつくこと。
「B組ぃ!? じゃあ、コイツの情報は!?」
「今のところ確実な情報は、無いね。一部マフィアのボスだとか、帰国子女だとか、どっかのアニメみたいな噂は飛び交っているけど、十中八九ガセだね。女子には興味ないらしいけど……そっか、そういう趣味だったのか」
川崎は食べ終えたカップラーメンのスープを飲もうとしていたが、それを強引にアキラが止めた。
「そういう趣味なのはコイツだけだ。だけだからな」
「別に言ってないでしょ何も」
川崎は気にせずスープを飲み、最後にほっと一息ついて割り箸と空のカップを机の上に置き、再度アキラの顔をじっと見る。穴が空きそうなほど見つめられるアキラは、居心地が悪いように身じろぎして、
「何だよ……」
「いや、いつ見ても綺麗な顔してるなぁ、って」
その言葉に反応したのは、アキラにべったりの藍川だった。
「何? アンタもアキラのこと狙ってんの?」
機嫌悪そうに唇を尖らせて、もはや朝の様子は覗えないほど萌え要素、満、載……
「やばい、川崎。俺もう死にたい……助けて……」
間違えた方向に進む自分の思考を案じて、軽く、川崎に言ってみたのだが、
「何、アキラ! まさか本当に恋び……!?」
「違う…っ!」
更に下から覗き込まれて、アキラは顔を赤らめた。
「えー、僕はアキラ君のこと好きだけどね」
「俺の周りは変態ばっかりかっ!! 変なこと言うな川崎!」
アキラは下から悩殺攻撃と友人の戯言を、軽くかわす術を本気で考え始めたのだった。
はっ! アキラって美形だったの!?
いいえ。別に美形かと聞かれれば美形ではないが、男に好かれるような……雰囲気? 醸し出してます。何ていうかその、中性的? みたいな。