Scena 2 面倒事
出ました新・キーワード!!その名も『吸血鬼』
いや~出そうか出さざるか結構考えましたが、出すなら今だろ!ということで出ちゃいました『ヴァンパイア』
これで話が、広がるといいなぁ……なんて思ってます。ハイ。
俺が『死ぬ前にやっておきたい100の事柄』を読み終え、新しく『新・魔術大辞典~あの時本当は魔術が使われていた!?~』を読み始め、そして読み終えたときは既に昼休みだった。俺はそういえば腹が減ってきたなくらいにしか思わず、本を三冊借りて図書室を出た。
購買に行くと、流石に混んでいたので諦めて隣の自動販売機でカップのココアを買った。一日一杯飲むようにしている。理由はただ単に大好きだから。
「ねぇ、A組の転入生いるじゃん?あの人って帰国子女らしいよ」
「うっそ!私はマフィアのボスだとか聞いたよ?」
「え?エクソシストじゃないの?」
女子たちが噂をしているのはもちろん藍川についてだろう。だがその内容に合っているものなどない。こう見えても情報通な俺は、藍川和馬だって既に調べ済みだ。
どこからそんな根も葉もない噂が流れているのかは知らないが、放っておくに越したことはなかった。だから俺は屋上で本でも読もうと一人で東校舎に向かうのだった。
「あーあ、どうすっかなぁ……」
しかし屋上には先客がいた。そう、何を隠そうそいつはあの藍川だったのだ。高校生でありながら煙草をふかし、何やら意味ありげにため息などを吐き、「あーあ、どうすっかなぁ……」などと呟いて、明らかに『俺、困ってます』的な雰囲気を醸し出しているのである。これに関わるとメンドクサさの極致だ、と本能で感じ取った俺は、しかし藍川に見つかってしまった。
「ねぇ、そこにいんの誰?まさかまたうるさい人たちじゃないよね?」
俺は仕方なく藍川の前に出て「違う」とだけ言った。
「あんた、確か同級だよね?名前は?」
俺は内心「疑問符が多いんだよコンチクショーが」と毒づき、しかし争い事とかメンドクサイことこの上なかったので「東堂晄」と単発に答えた。そんなオレの態度が気に入らなかったのか藍川は俺に近づいてきてじろじろと眺めまくる。そりゃもうどこもかしこも。
「あんた、本当に人間?」
「は?」
不意に問いかけられた言葉に、答えをまともに返せない。そりゃそうだろ。「人間?」て聞かれることがあるか?というか人間じゃなければ俺はいったいなんだってんだよ。バカバカしくて言葉も無い。それでも俺は答えた。この面倒事から早く逃げるために。
「人間以外の何に見える?」
多少のイラつきで声が震えたにしても、真意は相手に伝わったことだろう。『テメェは馬鹿か!?』と。
「んー、どっちかってーと……悪魔?」
「はぁ?」
ますます馬鹿らしい。ってーか「どっちかってーと」って何だよ!?何と比べてどっちかってーとだよ!?
藍川和馬……俺が調べたところによると『ガッチガチの不良っぽいけど頭は良く、成績はなかなか。ただ人付き合いとなるとどうしても上手くいかずに、一人でいることが多い。一匹狼な性格(だからこそ不良にみられる)。今回の転校は父親の転勤の所為。父親は至って普通なサラリーマン。母親は専業主婦。ちなみに母親は旧家の娘だったが駆け落ちして見事ゴールインを果たす。どちらかと言えば裕福な方』という可もなく不可もなくと言った感じに生きてきたらしい。これはとある筋から頂いた有力な情報だ。
「悪魔って、オイ。からかってんのか?」
「至って真面目。これでも」
藍川は教室での般若ではなく、普通に笑いかけてきた。そのギャップに俺は萌ェ……おかしい。俺の思考が今、完全に崩壊した。『萌ェ』って何だ、『萌ェ』って!!
「アキラ」
俺が自分に突っ込んでいる間に、藍川は俺の手を取って見つめてくる。背は俺より低いらしく(というか俺が高すぎる。自慢じゃないが183はあるぞ)下から覗き込まれる形になっているが……これがまたたまらん。
「な、何だよ!」
完全におかしくなっている自分の思考回路は無視して、赤面しながら俺はぶっきらぼうにそっぽを向いた。明らかにおかしい。心臓がバクバクいっているのが藍川にまで伝わりそうだ。
「血……頂戴?」
血……頂戴?
ち……ちょうだい?
血!?
「………はぁっ!?」
「おい、想像していた話と違うぞこら(怒)」
というそこのアナタ!!
えェ、完全に私の説明不足です。
あらすじも書き換えて分かりやすく書いときますよ。
「魔物が出てきます」とね。