第3話:「か弱き少女と頼れる剣士」
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今回はエレンがダンジョンで初めての「仲間」と出会うお話です。生存戦略のための、彼女のあざとい立ち回りをご覧ください。
薄暗く、ひんやりとした空気が漂う王都の地下ダンジョン1階層。
エレンは壁の影に身を潜めながら、じっと前方を見つめていた。
そこでは、一人の少女が短い剣を構え、2匹のゴブリンを相手に立ち回っている。
農作業着の名残がある粗末な服を着たその少女は、力任せに剣を振り下ろした。
「やぁぁっ! スラッシュ!」
荒削りな斜め上からの斬撃がゴブリンを捉え、光の粒子となって消え去る。
(……見習い剣士ね。剣筋は素人っぽいけど、体力とガッツはありそう。何より、あの真っ直ぐな戦い方。私のパートナーにはぴったりかも)
レベル1でHPも低いエレンにとって、ダンジョンを生き抜くためには前に立ってくれる「壁役」が絶対に必要だった。
エレンはゴブリンが全滅したのを見計らうと、前髪を軽く整えた。
そして、上目遣いで最も自分が可憐に見える角度を作り、おずおずと物陰から歩み出た。
「あ、あのっ……!」
か弱く、震えるような声色。
見習い剣士の少女は驚いて振り返った。
「えっ? うわっ、びっくりした! 君、一人? こんなところで危ないよ!」
「ご、ごめんなさい……。私、エレンって言います。あの、先ほど戦っているのを見て……とっても強くて、かっこよかったから、つい声をかけちゃいました……っ」
エレンは両手を胸の前で小さく組み、尊敬の眼差しを向けて頬を染める。
小柄で華奢なエレンにキラキラとした瞳で見つめられ、少女は照れくさそうに頭を掻いた。
「そ、そうかな? えへへ、私はノルン! 最近冒険者になったばっかりなんだ!」
「ノルンさん……。私、辺境から来たばかりで、一人じゃスライムも怖くて……。ノルンさんの戦う姿、すっごく頼もしかったです……!」
(さあ、ここが勝負どころ。私がどれだけか弱くて、あなたがどれだけ必要かアピールするのよ)
エレンは少しだけ潤んだ瞳でノルンを見上げ、すがるように一歩近づいた。
「あの、もしよかったら……私とパーティを組んでもらえませんか……? 私、体力はないですけど、火炎球で援護はできます。絶対に、足手まといにはなりませんから……っ!」
不安げに揺れる瞳と、一生懸命な懇願。
元気で仲間思いのノルンが、この「庇護欲をそそる可憐な少女」を見捨てられるはずがなかった。
「もちろん! 私でよければ一緒に頑張ろう! エレンちゃんは私が前衛でしっかり守るからね!」
「ほんとですか!? 嬉しい……! ノルンさん、よろしくお願いしますっ!」
エレンは満面の笑みで花が咲いたように笑い、ノルンの手をギュッと握った。
(ふふっ、交渉成立! これで安全な前衛を確保できたわ。彼女が前でヘイトを集めてくれるなら、私は安全な後ろから魔法を撃つだけで済む。最高の相棒を見つけちゃった)
純朴な見習い剣士は、目の前のおっとりとした少女が、頭の中でそんな効率的な生存戦略を弾き出しているとは夢にも思っていないだろう。
こうして、打算的な魔法使いと素直な剣士の、ちぐはぐな臨時パーティが結成されたのだった。
最後までお読みいただきありがとうございます!
ちゃっかり者のエレンと、素直なノルン。無事にパーティを組めた二人の探索が始まります。
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