第17話:「棚ぼたの成長」
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地獄の中層から生還し、不思議なペンダントを手にしたエレン。
一歩ずつ地上を目指す彼女が、ふとした瞬間に気づいた「異変」とは……。
「……よし、行こう」
エレンは胸元の青い宝石をそっと握りしめ、前を向いた。
ペンダントから絶え間なく流れ込んでくる魔力は、彼女の疲弊した精神を癒やすだけでなく、体の底から活力を引き出してくれるようだった。
まずは、この迷宮の1階層を抜けて地上に戻らなければならない。
角を曲がった先、ぷるぷると震えながら道を塞いでいたのは、この階層の主とも言える魔物――ゴブリンだった。
(今の私なら、油断しなければ仕留められるはず)
エレンは足を止め、右手をかざす。
ペンダントのおかげでMPは満タンだ。出し惜しみする必要はない。
「火炎球!」
放たれた火の玉は、以前よりも明らかに大きく、そして速かった。
ボォォォンッ!!という激しい着弾音とともに、ゴブリンは悲鳴を上げる暇もなく、文字通り「一撃」で蒸発して消えていった。
「……あれ?」
エレンは、突き出した杖を凝視したまま固まった。
これまでの彼女の魔法なら、ゴブリン一匹倒すのにも二、三発は必要だったはずだ。それが、まるで高レベルの魔術師が放ったかのような威力で、跡形もなく消し飛ばしてしまった。
「私の魔法……こんなに強くなかったはず。……まさか」
嫌な予感、あるいは期待に胸を躍らせながら、エレンは空中にステータス画面を呼び出した。
【名前】エレン
【職業】ファイアメイジ
【レベル】5
【HP】60 / 60
【MP】80 / 85
【スキル】スラッシュ
鑑定(常時効果)
【魔法】ファイアーボール
ファイアーブラスト
「……レベル、5……!?」
エレンは思わず叫び声を上げそうになり、慌てて口を塞いだ。
たった数時間で、2つもレベルが上がっている。
心当たりは、一つしかなかった。
(……あの二人とパーティを組んでたからだ!)
エドとレノア。あの規格外の二人が中層で魔物をなぎ倒していたとき、エレンは形式上、彼らとパーティを組んでいた。
彼らにとっては端金のような経験値でも、エレンにとっては、膨大な「経験値」だったのだ。
「ふふ……あははっ!」
暗い通路で、エレンは思わず笑い声を漏らした。
死ぬ思いをして中層まで連れ回されたが、手元に残ったのはMP回復のペンダントと、一気に跳ね上がったレベル。
(最低の裏切りにあったけど……結果的には、お釣りが出るくらいの収穫じゃない)
エレンの瞳に、再び「計算高い編集者」のような鋭い光が戻る。
レベル5。これなら、1階層の魔物に怯える必要はもうない。
彼女は意気揚々と、地上へと続く道を駆け出した。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
勇者たちとの邂逅は、エレンに「物」だけでなく「本人の実力」という最大級の恩返しをもたらしました。
一気にレベルが上がり、自信を取り戻したエレン。地上で彼女を待っているのは……?
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