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辺境のあざとい魔導士は禁忌の術式で死を欺く ―最強の盾と歩む理外の成り上がり譚―  作者: ゆっきー
第1章:始まりの王都

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第15話:「届いた光と小さな宝石」

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

死の淵から、ついに見慣れた景色の中へ。



「……あ」


階段を登りきり、目に飛び込んできた景色に、エレンの目から再び涙がこぼれ落ちた。

薄暗いけれど、どこか温かみのある石壁。時折聞こえてくる、スライムが跳ねる音。

それは、数時間前まで自分がいた、間違いなくダンジョン1階層の光景だった。


「戻ってこれた……本当に、戻ってこれたんだ……っ!」


エレンはその場に膝をつき、冷たいはずの石畳を愛おしそうに撫でた。

中層の、あの魂まで凍りつくような重圧感がない。ただそれだけのことが、これほどまでに幸せだとは思わなかった。


「悪いな、エレン。俺のせいで余計な怖い思いをさせちまって」


エドが申し訳なさそうに頭を掻き、鞘に収めた剣を背負い直す。

エレンは慌てて立ち上がり、背筋を伸ばして二人に向き直った。


「いえっ! とんでもありません! お二人が助けてくださらなかったら、私は今頃……。本当に、本当にありがとうございました……っ!」


エレンは心の底から、深々と頭を下げた。

これはあざとさでも計算でもない、純粋な感謝だった。


「じゃあ、私たちは下に戻るね。今度こそ迷わないように頑張らなきゃ!」


レノアが明るい声を出し、エドの背中を叩く。

別れの時が来た。エレンは名残惜しさを感じつつも、これ以上彼らの邪魔はできないと、精一杯の笑顔で見送ろうとした。


「あの、これっ。お礼には全然足りないと思うんですけど……っ」


エレンがポシェットに手をかけようとしたその時。

レノアが「あ、そうだ!」と声を上げ、自分のポケットをガサゴソと探り始めた。


「エレンちゃん、これ。受け取って!」


「え……?」


差し出されたのは、銀色の細い鎖の先に、透き通った青い宝石が埋め込まれた小ぶりなペンダント型タリスマンだった。


「えっ!? こんな高そうなもの、いただけません!」


「いいのいいの! 私たちのせいで怖いところに連れ回しちゃったお詫び。それ、微弱だけど『魔力回復(MPリジェネ)』の効果があるアクセサリなの。エレンちゃん、メイジでしょ? きっと役に立つよ!」


「魔力、回復……?」


エレンは目を見開いた。

そんな効果を持つ魔法のアクセサリなど、ギルドの売店で買えば金貨数十枚は下らない高級品だ。


「さぁ、受け取って。エレンちゃんが立派な冒険者になれるように、応援してるからね!」


レノアは強引にペンダントをエレンの手に握らせると、眩しいほどの笑顔を見せた。


「……ありがとうございます。大事に、本当に大事にしますっ……!」


「おう、またどこかでな!」


「バイバイ、エレンちゃん!」


二人は軽やかな足取りで、再びダンジョンの深淵へと向かって歩き出していった。

エレンは、掌に残る宝石の淡い温もりをじっと見つめていた。


(……新米冒険者の私に、こんなすごいものを……)


一時は死を覚悟した最悪の探索。

けれど、手元に残ったのは、伝説の勇者一行との縁と、魔法のアクセサリ。

エレンの瞳に、恐怖ではない別の光が宿り始めた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

無事に生還し、思わぬ宝物を手にしたエレン。

彼女を救ったエドとレノアの優しさが、彼女に新たな可能性を与えます。

次回、地上に戻ったエレンに待ち受けるものは……。

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