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辺境のあざとい魔導士は禁忌の術式で死を欺く ―最強の盾と歩む理外の成り上がり譚―  作者: ゆっきー
第1章:始まりの王都

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第14話:「希望の階段」

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

暗く深い中層の迷宮で、あてどなく彷徨っていた勇者一行。

絶望的な状況に置かれていたエレンが、ついに「日常」への入り口を見つけます。


 それから、どれほどの時間が経っただろうか。

 ポチャリ、ポチャリと虚しく水滴が落ちる音だけが、不気味なほど静まり返った中層の通路に響いていた。


 エレンの体力は、すでに限界に達していた。

 魔物に襲われる恐怖、そして異次元の強者たちに付き添う緊張感。それらが重くのしかかる。


「……あ、あれ! エド、見て!」


 沈黙を破ったのは、レノアの弾んだ声だった。

 彼女が指差した先、入り組んだ岩壁の合間に、上へと続く古びた石造りの階段が姿を現していた。


「お、やっと見つけたか。直感を信じて正解だったな」


「何言ってるの、さっきから何回も反対に行こうとしてたじゃない!」


 二人の漫才のようなやり取りが遠くに聞こえるほど、エレンはその階段を呆然と見つめていた。

 そこから漏れ聞こえてくる風の音は、間違いなく上の階層、自分たちがいた場所へと繋がっている証だった。


(……助かった。やっと、帰れるんだ)


 エレンは胸を撫で下ろし、その場にへたり込みそうになるのを必死で堪えた。

 暗い中層、血の匂い、そして自分を一撃で噛み殺すような化け物たち。

 そこから解放されるという事実に、心底からの安堵が波のように押し寄せてくる。


「ぐすっ…ふぇえ……っ!」


 エレンの瞳から、再び涙が溢れ出した。

 今度は恐怖ではなく、生きて帰れることへの純粋な喜びの涙だった。

 あざとく計算することすら忘れ、ただただ恩人たちに感謝の言葉を繰り返す。


「あり…ありがとう…ございます!」


「いいって。俺たちのせいで迷わせちまったんだからな。さあ、さっさと上がろうぜ。ここは空気が重くて、お前にはきついだろ」


 エドが少しだけぶっきらぼうに言い、先頭を切って階段を登り始める。

 エレンは震える足に力を込め、一歩一歩、死の淵から日常へと戻るための階段を噛み締めるように登っていった。


 後書き:

 最後までお読みいただき、ありがとうございます!

 ようやく上層への階段を見つけ、絶望の淵から生還したエレン。

 しかし、この規格外な二人との出会いが、彼女の冒険者としての人生を大きく変えるきっかけとなることを、彼女はまだ確信していませんでした。

 次回、無事に1階層へと戻ります。応援のブックマークや評価をいただけますと幸いです!第14話:「希望の階段」


 前書き:

 いつもお読みいただき、ありがとうございます!

 暗く深い中層の迷宮で、あてどなく彷徨っていた勇者一行。

 絶望的な状況に置かれていたレベル1のエレンが、ついに「日常」への入り口を見つけます。


 本文:

 それから、どれほどの時間が経っただろうか。

 カチ、カチと虚しく時を刻む足音だけが、不気味なほど静まり返った中層の通路に響いていた。


 エレンの体力は、すでに限界に達していた。

 魔物に襲われる恐怖、そして異次元の強者たちに付き添う緊張感。それらが、レベル1の華奢な体に重くのしかかる。


「……あ、あれ! エド、見て!」


 沈黙を破ったのは、レノアの弾んだ声だった。

 彼女が指差した先、入り組んだ岩壁の合間に、上へと続く古びた石造りの階段が姿を現していた。


「お、やっと見つけたか。直感を信じて正解だったな」


「何言ってるの、さっきから何回も反対に行こうとしてたじゃない!」


 二人の漫才のようなやり取りが遠くに聞こえるほど、エレンはその階段を呆然と見つめていた。

 そこから漏れ聞こえてくる風の音は、間違いなく上の階層、自分たちがいた場所へと繋がっている証だった。


(……助かった。やっと、帰れるんだ)


 エレンは胸を撫で下ろし、その場にへたり込みそうになるのを必死で堪えた。

 暗い中層、血の匂い、そして自分を一撃で噛み殺すような化け物たち。

 そこから解放されるという事実に、心底からの安堵が波のように押し寄せてくる。


「あ、ありがとう……ありがとうございます……っ!」


 エレンの瞳から、再び涙が溢れ出した。

 今度は恐怖ではなく、生きて帰れることへの純粋な喜びの涙だった。

 あざとく計算することすら忘れ、ただただ恩人たちに感謝の言葉を繰り返す。


「いいって。俺たちのせいで迷わせちまったんだからな。さあ、さっさと上がろうぜ。ここは空気が重くて、お前にはきついだろ」


 エドが少しだけぶっきらぼうに言い、先頭を切って階段を登り始める。

 エレンは震える足に力を込め、一歩一歩、死の淵から日常へと戻るための階段を噛み締めるように登っていった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!

ようやく上層への階段を見つけ、絶望の淵から生還したエレン。

しかし、この規格外な二人との出会いが、彼女の冒険者としての人生を大きく変えるきっかけとなることを、彼女はまだ確信していませんでした。

応援のブックマークや評価をいただけますと幸いです!

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