No.4 万物の集まりし所、湖
No.4 万物の集まりし所、湖
この世とかあの世とか言い過ぎて自分でも訳が分からなくなって来ているから、死後の今いる世界をこの世と定義して、行こうと思う。
さて、私に向かって来ては叩き落とされていく生き物達の話になるのだが、もしかすると、この世の生物達は酷く、脆弱性の高い存在なのかもしれない・・・
あの後、私は遥か遠くに見えた森らしき物を目指して進んだ。水辺がある事、それだけを願って。
その道のりは言うまでもなく、それなりの数の生物に襲い掛かられたし、私も身を守る為になり振り構わず払い除けて来た。
森に近付くに連れてその数は増えたが、生物達が多いと言う事は、水辺があるのでは?と前向きに考えて。
結果は大正解!森の奥、木々の隙間から陽の光を反射してキラキラと輝く水が見えた。どうやら、森の中心が湖となっているみたいだ。
「やったーー!!!もう喉もカラッカラ!!!」
嬉しさの余り駆け出したが、直ぐに足を止めた。
辺りを確認せず、勢いよく森の中心に飛び出した私は、先約で既に水を飲んでいた巨大な鹿の様な見た目の生き物と、バッチリ目が合ってしまったのだ。
野生の鹿は、元の世界の基準では観光地で無い限り、人を見ると驚いて直ぐ逃げ出す物だと言う認識だ。
逃げてくれよ?と冷や汗を垂らし、こちらは下手に刺激しないよう静止したまま、様子を伺う。
5分くらいの睨み合いの末、先に動いたのは鹿の方で、あろう事か私を縄張りに入り込んだ不届者と認識したらしく、頭を下げ前足で地を蹴る動作をこちらに向けて来た。
「完全に威嚇されてる・・・!」
あのまま突進でもされたら、ひとたまりも無い。
鹿と言ってるけど、体は象くらいあるし、角もめちゃくちゃ大きい・・・そう!海外の、その、ほら・・・ヘラジカ?くらいはある!
ヤバい・・・逃げないと・・・と頭では分かっている。
けれど、怖過ぎて足が動かないのだ。
もたつく私を鹿は待ってくれるはずも無い。
威嚇に恐れを成して逃げ出さない侵入者を、力付くで排除すべく、私目掛けて突進して来たのだ。
「あぁ・・・終わった・・・始まったばかりの私の新生活のが早くも終わった・・・」
終わりの始まりの終わり。
どうする事も出来ない私は、目を閉じて衝撃に備えた。きっと、圧倒的な質量に跳ね飛ばされて空を舞い、地面に叩き付けられる・・・その未来を想像しながら・・・
数秒後、ドッ・・・っと身体が揺れる。
あぁ・・・当たった瞬間はゆっくりと感じるんだ・・・
これから、衝撃が一気に押し寄せ、骨が砕け、内臓は破裂し、血吹雪を上げながら私の身体は────・・・・・・
「・・・・・・・・・来ない」
来ると思っていた衝撃が来ない。
吹っ飛ばさせる浮遊感も無い。
「何がーーー・・・」
不審に思い状況確認をしようと目を開けた瞬間。
ドシーーーーーーン!!!!!
と地響きと共に、目の前に鹿が落ちて来た。
「え?」
ちょっと何を言っているのか分からないかも知れない・・・私も分からない。
死を覚悟して目を閉じて、開けたら、鹿が宙を舞って落ちて、衝撃で絶命した。
「こっ・・・怖っ!!!何何何何!!!?」
大きな体が落ちた事により、地面にクレーターができ、その中心に横たわる鹿は、確実に死んでいる。
「突然何!!?私の目の前で滑って転んだりした??!」
意味が分からない。そもそも、鹿は私の身体を角で突いたはずだ。
その鹿が何で飛んで落ちるのか・・・
あり得ない状況に、脳がショートしそうだ。
「あり得ない・・・分からない・・・うっ・・・」
ショックと、混乱で平衡感覚を失った私はふらついた勢いで、そのまま湖に落ちた。
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