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No.33 いざ、ドワーフの街ドルガニルへ!


No.33 いざ、ドワーフの街ドルガニルへ!





昨夜から朝にかけて雪は思ったよりも積もらず、引き続き馬車で移動が可能との事で、私達は朝日を浴びながらドルガニルへと出発した。



ここからの道は山を少しずつ降って行く。心なしか荷車を引く馬も足取りが軽やかだ。


この数日の旅を、難なく荷物と私達3人を乗せた幌を引くテアドルさんの相棒も、唯の馬では無いのだろう。



「このまま問題が無ければ、昼過ぎにはドルガニルに到着する」


昨日、ドルガニルについて色々と教えて貰った。

ドワーフが治める単一国家であるドルガニルは、山間の窪地に鉱石を採掘する為の街が造られたのが始まり。


元々他の種族との交流は得意としていなかった事と、小柄ながら強靭な肉体。それでいて繊細な物作りを得意としている事が幸いし、この過酷な土地に根付く事が出来たと言う。



街はどんどん大きくなり、やがて領主は国王に。

それまでは排他的であったが国家創設と共に、他国との交易もここ800年で随分と様変わりし、この地へと精巧な武器や防具、装飾品等を求める商人がやって来る迄になったそうだ。



徐々に開かれていく国を見て育った国内の若いドワーフ達が、他国へ興味を持ち始めるのは必然で、その少数が移り住み始めた。

移住後は国で磨いた技術の腕を各地で奮って居る。シルビアで店を構えるカイルさんもその1人なのだろう。


驚いた事に、テアドルさんはもう500歳だそうで、ドワーフの寿命が600歳前後。つまり国が栄えて行く過程をずっと見て来た、言わば生き証人の様な存在だと思った。


商人として、ドルガニルと他国を頻繁に行き来する為、故郷での滞在時間は決して多い訳では無く、廃業して残りの100年をゆっくり妻と過ごす予定だそうだ。



「───あ、雪が徐々に少なくなって来ましたね!」


ドルガニルについて復習をしていると、外の景色に変化が見られた。


目的の場所は、積雪のある頂きに近い所では無く中腹辺りで、標高が下がり地面が見える場所が多くなる。



寒さが和らぎ、緑が少しずつ色を広げて行く景色をずっと眺めていた。




ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー




「もう城の尖塔が見えて来る頃じゃな」



出発して数時間、待ち侘びたドワーフの国が見えて来た。


近付くにつれて街の最上部に聳え立つお城も全体が現れ、次いで街が下に広がる。この巨大な窪地に合わせて国が建設されたのであろう。



「凄い・・・これがドワーフの国ドルガニル・・・」



城壁が際立つシルビアとはまた違い、国全体が重厚で長い歴史を刻んだ貫禄を感じ取れる。



「・・・ん?何だ・・・今日はやけに大人しいな・・・?」


「うん?何がですか?」


「いや、ワシも数ヶ月振りの帰郷になるが、街から蒸気が上がって無いのは初めて見る・・・・・・国で何かあったか?」



ドルガニルは探鉱と鍛造の街。

毎日掘削と鍛造が行われている為、街の至る所から蒸気が立ち昇り、ハンマーで金属を叩く音が響いている・・・と昨日教わった。


その情報を念頭に現状を見てみると、確かに蒸気も金属音もしていない。



「・・・・・・何か起きているな・・・入国を断られなければ良いが・・・」



何があったのだろうか・・・?もう外壁は目の前だ。

馬の走るスピードを落とし、私達も荷台から降りて入国に備える。




「止まれ」



外壁に作られた門の前では、以前の国境の時と同じように門番が待ち構え、私達に止まるように告げる。



「やぁ、ただいま。家に帰りたいから入れてくれるかの?」


テアドルさんは穏やかに笑い、身分証を見せる。

身分証は国が違ったとしても機能する様で、所謂パスポートと同等の効果があるのだろう。門番は直ぐに身分証を確認し、テアドルさんに入国を許可する。


問題は我々の方だ。テアドルさんはこの国住人で審査はさ程厳しくは無いのだろう。

かたや、唯の一般冒険者で国外の人間だ。果たして冒険者の身分証で許可が下りるのかどうか・・・



「後ろの2人は国の者で無いな、商人・・・にも見えない。何用だ?」


「俺はレオニア王国公認ギルド、フォートレス所属のS級冒険者、ジルニード=ヴィクター。この街の鍛治師に用があって来た。斡旋状もある」



シルビアで、カイルさんから受け取った斡旋状を門番に見せる。

恐らく、この街に来た経緯と、腕の良い鍛冶屋の紹介を兼ねた手紙だ。



「───なるほど、今この街は少々問題が起きていていてな、部外者は立ち入りに制限が設けられている。上の判断を仰ぐので、少しお待ち頂こう」



「構わない。良い返事を期待している」



紹介状を手に門番の1人が塀の中へと消えて行く。


「・・・やはり、何か起きている様だな・・・上に判断を仰ぐと言う事は、暫くかかるな・・・」


「・・・そうなんですね・・・」


「すまないな、ワシだけ許可が先に下りてしまって・・・」


「え?!テアドルさんは良いんですよ!ご出身の国じゃ無いですか!私達はここで待機になってますけど、テアドルさんは奥さんが待つお家に帰られて下さい・・・!」



眉を下げて落胆の表情を見せるテアドルさんに、長旅で疲れたまま私達と一緒に待たせるのは忍びない。

むしろ、帰宅してゆっくり疲れを癒して貰いたい。


「こいつの言う通りだ。俺達の事は気にしなくて良い、ここ迄の間世話になった。ありがとう」


「はい!私も馬車に初めて乗れて嬉しかったです!ありがとうございました!」


「あぁ、ありがとう。最後に良い旅が出来たよ」



3人で握手を交わした後、テアドルさんは馬車と共に門の中へ、私達はその場で許可を待つ事となった。





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