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No.13 先手必勝!!


No.13 先手必勝!!




「ふぁー・・・雰囲気のある建物・・・」


「いつまでも眺めてないで入るぞ」



私は今、目的地である"ぎるど"に着いた訳だが…建物の重厚感に気圧されている。


建物の入り口には、guildギルドの表記。今まで正しい字面が分からなかったが、成る程、そう言うニュアンスか・・・


ぎるど改め、ギルドの入り口を目前に、中々入る決心が付かない。






あの後、彼の言う予定通りの時刻に街に着いた。街中を荷車を浮かせつつ歩くのは危ないからと門外に置き、ここまで乗せてくれた馬と共に入門した。


街の門を潜る際は、国境の時の様に警戒したが、こちらの門は彼の「戻ったよ、ただいま」の一言だけで、すんなりと通過できた。

国境に比べ、こちらはもはや日常のやり取りの、挨拶の一部で終わる程に簡素だった。


門を過ぎると、直ぐに市場の様な場所が広がり、様々な露店や、建物を構えたお店が立ち並んでいる。当然通りに人の数も多く、かなり栄えた街だと言うことが分かった。


その賑やかな通りを歩く最中、次々と声を掛けられる前を歩く彼。

挨拶を返したり、相槌を打ったり、手を翳してヒラっと反応してみたり。


・・・・・・この人は一体何者なのだろう。


目線だけで様子を伺い、目立たない様にやや後ろを着いて行く。



街の中心の噴水がある広場には、神聖そうな建物や、大きな建造物が建ち並んでいる。


「ほら、ギルドに着くぞ」


噴水の向こう側、一際重厚感のある建物を彼は指刺す。


心臓がドッと跳ねた。




────ギルドに着いてから15分。


冒頭の部分に戻るのだが、入るぞと言われ、決心の付かない私は「もう少し待って下さい・・・」「命掛かってるんで・・・」と、姑息な悪あがきをしている。



「・・・もう良いか?・・・日が暮れるぞ」


「・・・・・・・・・」


「先に入る」


流石の彼も痺れを切らしたらしい・・・私を置いて、扉に手をかけた。



ギィーーーー・・・



臨場感抜群の木と蝶番の音共に合わせて開かれる扉。

置いて行かれてなるものかっ・・・!慌てて彼の服を掴み、付いて行くつもりで背に隠れる。


私は敵では無い・・・心象良く・・・

ここに辿り着くまでに、何百回も脳に叩き込んだ言葉を重ねて反芻する。血流が良くなり過ぎてグラグラ揺れる視界・・・。

彼は建物に入り、誰かと話した後、「ギルマスは上の階だ、行くぞ」その声が耳に鮮明に入って来て、漸く焦点が合う。



入り口から階段を登り、2階に行く迄の間、痛いくらいの視線をヒシヒシ感じる。


緊張してそれどころでは無い筈なのだが、大勢の人から向けられる奇異の目の感覚は、不思議と分かるもので、心底居心地が悪かった・・・




2階では人の気配が減った事で、ホッ・・・と息をつく。

長い廊下が続く先、恐らく1番奥の扉が目的の部屋だろう。


大丈夫・・・話せば伝わる・・・私は敵では無い・・・敵意も無い・・・



彼がノックをすると「入れ」と短い返事が聞こえた。


「失礼します」


生き残れ、私!!!



「失礼します!!!お初にお目にかかります!!この度、こちらの世界に転生致しました、柊芽弥と申します!!!先の荷車の件、申し訳ございませんでした!!!私の不注意により、相手方に誤解を与えてしまい、この様な大事になった事、深くお詫び申し上げます!!!お恥ずかしながら無一文の身ではございますが、お詫びは致しますので、何卒、命につきましてはご一考頂きたく!!!」



深々と頭を下げて、事態の謝罪をすると共に、命乞いも併せた。

ひと息に喋り切り、相手の反応を待つ。



荷車を壊したのは勿論私では無いし、おじさんを襲ったりもしていない、こちらの落ち度は・・・強いて言うならば、驚かせて誤解や混乱を招いた事だろう・・・本来なら私が謝る謂れも無いのだが、こう言う場では先手必勝。


前後状況を交えて勢いで謝ってしまった方が良いのだ。


心象が優先、頭ひとつ下げる事で大きく戦況は変わる事を、社会人になって嫌と言う程味わった。



「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」



静かな時間が流れる。 


もしかして、ミスっただろうか・・・やはりここはjapanese DO・GE・ZAが、より命乞いとしては格上だったか・・・

判断を誤った自分を悔やみ、恥を忍んで2度目の謝罪をすべく姿勢を下げ、片膝を付いたタイミングで「おい、ジル!何だ面白れぇ奴拾って来たな!!」と、そう豪快に笑う声に、動きを止めた。


ゆっくりと、顔を上げ声の主を見る。

豪快な声に負けない、厳つい風体のナイスミドル。


呆気に取られ、無言のまま横に立つ彼に目線を向けると、掌で額辺りを覆いため息を付いていた。



「?????」


「取り敢えず、一度立て」


右腕を掴まれ引き上げられた。


「まぁ、2人ともそこに座れ」


ミドルガイの座る窓際の席の前には、来客用の応接セットが置かれているのだが、そのソファを指差し着座を促される。


「いえ・・・私は・・・」


「良いから座れ」


立場が立場なだけに、提案を即座に受け入れられる訳も無く、立ったままで大丈夫ですとお断りを入れようとしたが、彼は私の返事に先回りして来た。


「う・・・はい・・・・・・し、失礼します・・・」




生死を分ける、面接は幕を開けた。





.

週2回の更新でしたが、今アップしている一章が土曜日に書き終わり、達成感で1話繰り越しでアップしました。


今週は後1話分更新します(*'ω'*)


ストック分に追いつかれないよう2章も頑張って書いて行きます!

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