第13話 その後の出来事
ご機嫌な気分で、セーンに瞬間移動でヤッヤモ達の所へ戻してもらったベルメリ。
「ヤッヤモー置いて行っちゃってごめんねー」
「ベルメリー。無事でよかった、僕、心配で心配でー」
駆け寄りながら、ヤッヤモ。『謝るのはそこかい』と思っている。ヤッヤモの後ろにはヘキジョウさんっ子たちが続く。
「まぁっ、心配してくれていたのね。心配かけてごめんなさい。きれいなヴァンパイアさんの言う事、本当かと思ったら、あたし騙されていたの。それで思い出したわ。諺かしら、言い伝えかしら、『きれいな花にはトゲがある』って言うのは?」
「何だよう、ベルメリ。とんちんかんな話ばかりして。ヘキジョウさんっ子だって心配していたんだぞ」
「きゃー、可愛いのに、ママ悪かったわねぇ」
『あ』ベルメリ、小さい頃のおままごと感覚で、自分の事をママと言ってしまった事に気が付く。しかし、どうやらさらわれる前にも言っていたらしく、ヘキジョウさんっ子は気にしていない。
「ベルメリママ」「ベルメリママ」と言って、抱かれようと先を争う子ら。
『・・・あたし結婚してないし、卵も産める当ては無し。ママとだけ言われているけど・・・この場のあたしってどういう立場なの』
ヤッヤモに意見を言われた。
「この立場、自分で作ったよ。ベルメリ」
「そうだった感じねっ。もう気にしないっ、だってヘキジョウさんっ子可愛いし。ママで良いわっ」
「平和だねぇ、ベルメリは。さっきの事、全く堪えていないな」
ヤモが感心して見ている。
「神経が相当図太いか、鈍いのか。どっちだと思う」
ヤーモが2択を聞いて来るが、ヤモは、
「そんなの証明のしようがないだろ。却下」
セーンはため息をつきながら、やって来た皆に、
「心配かけたけれど、何とか丸く収まった。信じられないだろ、この状況。俺はもう何につけ、深い意味なんか無いと分かったな、人生適当で良いんだ。ニー、ユー。パパは辛気臭いパパは辞めたからな。お気楽に遊んでやろう」
「わーい、前みたいに3人野球―」
とは言え、セーンは気が付いてちらっと、ガーレンを見た後、
「勉強の後でだな」
「それと、ガーレン。ルバルママに聞いてくれてありがとう。ガーレンの機転、さすが年の功だな」
「おい、それほど年は開いていないだろう。俺を年寄り扱いして、またからかう気だな。俺の歳は見たまんまだから。子供たちに変な情報流すなよ」
一方、こちらはセピアのべネル家の様子だが、ヤコは今朝から、ヤモや、ヤーモの落ち着かない精神状態を感じ、ニールで何事かあったと感じていた。思い当たる事と言えば、ベルメリちゃんがヤッヤモとニールの家を訪問している事だ。
『ベルメリちゃんに何かあったのだろうか』ヤモやヤーモにコンタクトしてみるが、応答がない。というか、ニールには居ないのが分かった。
『きっと、魔の国に言ったな。ベルメリちゃんの気配は無いし』
ココモが落ち着かないヤコに気付き、
「ニールの家で何事かあったようだな」
と話しかけると、ヤコは聞かれれば、この心配の原因について話したくなるのが普通だろう。この事は黙って居るべきだと分かっていたが、苦労人のココモは黙るべき時は黙っている。
「俺には教えようとしないけれど、ベルメリちゃんが居なくなっている。レンさんの元カノのヴァンパイアにさらわれた。セーン達が探しに行っているよ。心配だけど、俺はあの子の使い魔じゃないし」
「ヤッヤモはどうしているんだ」
「風呂場から連れ去られたらしいな。側に居なかったときにさらわれたんだ」
「あの子魔人だから、ヴァンパイアに負けるはずない気がしたけど。あのヴァンパイア、根性悪そうだからな、きっと卑怯なマネしたんだろうな。俺がチー、ラー見ているから、お前行きたきゃ行ったらどうなんだ」
「俺に隠そうとしているから、来てほしくないんだろ」
「仲間は多い方が良い気がするけどな。きっと間に合っているんだろ。あ、ベルメリちゃんのパパが頭に血―上っているから、手伝いに来たお前まで、目の敵にされるからじゃないのか」
「そうか、あのパパ面倒だろうな。敵に回したくないタイプだよな。仕方ないから大人しく待つしかないかな。だけど助けたら俺らに連絡するかな、そもそも教えていないって言う、設定だからな」
その後、直ぐにと言える時間帯に、ベルメリのパパは玄関(店の入り口)からやって来た。正式訪問と言えなくもないやって来方だ。いったい何の用があるというのだ。
ルーナ伯母さんが、店に出ていたので、
「ごめんください。おや、今日はルーナさんが店番担当でしたか」
「あら、最近はいらっしゃらなかったけど、何時もどうされているのかしらと思って居ましたわ」
「どうも、元気に暮らしておりました。ところで、今日はべネルさんは御在宅ではないのですか」
「そうなんですよ、年度終わりの週の月曜日は、チェーン店の責任者同士の会合があるんですよ。せっかく来ていただいたのにごめんなさいね」
「いえ、実は彼に用と言うほどの事ではないんですよ。実は彼よりもここに住んでいるヤコさんと、ココモさんをお尋ねしたのです。ベルメリがハイスクールでお世話になっておるらしいので、挨拶がてら顔を見に来たような次第です」
「げっー」
ココモ本人は小声で気分をヤコに言ったつもりのようだが、この、ヤコでさえどうかと思うような言い草は隣近所まで響いたはず。
「おや、この部屋に居ましたか」
どうかと思える声は、もちろんベルメリのパパに聞こえているし、癇に障る位置まで聞こえたと思えるヤコ。
『知らないぞう。きっと癇に障っている』
ココモに言っておく。
『あわわ』
ココモは慌てているようなコンタクトをしたが、さして気にはしていない様だ。ココモはほとんどのやって来るピンチは気にしない。本当のピンチは卵時代ですでに終わった後
だからだ。
ドアを開けて顔をのぞかせたベルメリのパパ。ポーカーフェイス的すました顔だが、内心はどうだか知れない。こういう態度の人はオーカーさんからは気を付けるようにと、常々言われていたココモだ。
ヤコはベルメリパパが冷静な様子でやった来たって事は、ベルメリは無事なのだろうと分かって、少しホッとする。だがこの人のやってきた理由が、見えて来ない。
ココモはオーカーさんの注意の意味は気にせず
「ちわっす」
軽く挨拶する。ヤコは生真面目に、
「どうも初めまして、ヤコ・グルードです」
ココモ、『苗字貰ったから最近ヤコは、必要以上に苗字言う気がするな』と言っておく。
そんなココモには気にせず、ヴァンク・ノスさん(ベルメリパパの名だった!)は、ヤコをじっと見つめ
「この時代に、古のドラゴンがこんな所に居るとは」
じっと見つめながら呟く。しかし、ヤコは言わねばならぬ、
「あのー、僕はそんな感じに見えますけど、僕はドラゴンじゃありません。普通のニール
地下に居た魔物です。この格好は僕の親が魔力でカスタマイズして出来たものです」
「何と、やはり本物じゃないか」
「えーそう言いますと?」
「古のドラゴンは、古では敵が多いので、魔力で姿を変えている、そして必要に応じて本性を現す。古い文献にそう記してあったと記憶している」
「ゲッ」
この場合はヤコの本当の感想である。




