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第12話 ベルメリお見事

 

 時間は少し戻り、こちらは当人ベルメリ。美人すぎるヴァンパイアに連れられて、魔法使いホ-ダラアの住処にいくことになる。

 ホーダラアの家は客層が女性なのだろう。小ぶりなお伽の国に出て来そうなメルヘンチックな家だ。こういうのセピアの店にお人形の家として売っていたのに似ている。丸い窓には花柄のカーテン等がかかっている。

 内心『何だか、ワザトらしい造りの家ね。メルヘンで卵が生めるようになるかしら』さすがに違和感を覚えたベルメリだ。『あ、そうだったヤッヤモを連れて来なかったっけ』・・・今頃思い出したのかベルメリ、『使い魔を連れて来なかったなんて、あたしってどうなんだろ。(ヤッヤモに聞けば、答えは『ベルメリの〇鹿っ』と思える)今頃ヤッヤモ怒ってないかしら』(と、言うより多分嘆いている)と言う事で、

「ねぇねぇ、ヴァンパイアさん。あたし使い魔連れて来るの忘れちゃった。きっと怒っていると思うの。戻って連れて来たいんだけれど」

「あら、あたしがヴァンパイアだって分かったのね。生憎魔の国行きは片道切符なのよ。ホーダラアの玄関前まで来て、その台詞?少し遅すぎたんじゃないの」

 態度が豹変したヴァンパイアの女に、腕を掴まれそうになったが、振りほどいて逃げようとするベルメリ。とは言え、そのスピードは遅すぎるが。

 そう言う事で、直ぐにつかまりこの事態の原因のひとつは、ベルメリは気付くのが遅すぎると言える。他にも原因はあるが言わずもがなと言う事で、ベルメリは無駄にじたばた暴れながら、ヴァンパイアの女に拘束されて、家の中に引きずり込まれたのだった。

 そこにはホーダラアらしき年老いた魔法使いがおり、

「おやおや、今日のお嬢さんは随分元気が良いね。良いのが取れそうじゃな」

「キー、あたしから何を取るきよ」

「あ、言い間違えてしまった。卵を産む体にするんじゃったな。その為にお嬢ちゃんの卵子を卵になるように魔術を施さなければならない。そう言う事で、ちょいちょいと、卵子を貸してもらおうかな。魔法が掛かったらまたお嬢ちゃんの体に戻すから心配はいらないよ。人によっては痛く感じる子もいるから。眠ってもらうよ、目が覚めたらお家に帰れるからね。さあお眠り」

 魔法使いはベルメリの顔に手をかざし目をつぶらせ、眠りだす魔法をかけようとした。

 眠ってしまってはおしまいだと思ったベルメリ。段々、体が動かなくなっていく自覚はあったが、必死で顔を上げ魔法使いの指を噛んだ。

「コラァ、何をする。何というアマだ。優しくしてやったらつけ上がって、これでも食らえ」

 魔法使いは怒りで赤面すると、殴ってベルメリを気を失わせることにしたらしいのだが。

 危機一髪、その手をセーンがつかみ、同時に魔法使いは燃えだした。咆哮を上げて燃え出す魔法使い。

 ベルメリからは見えない位置に居たヴァンパイアの女は、悲鳴を上げているが燃えてはいないようで、と言うのも、魔法使いよりも余裕のある悲鳴に聞こえたのだった。

 きっとヤーモさんと思えるグレーの人が、

「ベルメリちゃん、大丈夫?間に合って良かった。何かされそうだったね」

 ベルメリを優しく抱き起してくれながら、これまた優しく言ってくれるので、泣くことにしたベルメリ。(泣かずに済ませる事も出来るが、優しくしてくれる人には、この際とことん甘えるつもりだ。これは不味い事をしでかした時のベルメリの技ともいう)

「ううっ、怖かったのぉ、助けに来てくれて嬉しいっ」

「うんうん、可哀そうにね。もう大丈夫だよ。どうやらパパも駆けつけてくれるそうだから、お家に帰れるよ」

「げぇっ、パパ来るって。帰りたくないのぉ。ニールに戻りたい。ヤッヤモ連れて来るの忘れていたから、ヤッヤモもセピアに連れて帰らなきゃならないし」

 ベルメリのもっともらしい主張は、そこへやって来た怒り心頭のパパによって打ち消された。

「ヤッヤモはニールに置いて帰るんだ。ベルメリ。もうパパは怒っているんだからね。今日はパパの言う事を聞きなさい。使い魔ごっこはお終いだ。明日も休ませないからな」

 ベルメリをむんずと掴むと、この体制は瞬間移動だと察したベルメリ。今から一世一代の大芝居だが。パパにばれなければいいが。

「嫌よう、パパ。今日の夜までの約束じゃない。ニールの皆が心配してるのぉ。セキジョウさんっ子、きっと悲しむわ。今日の夜まで居るって約束したのぉ。わーん、約束したのよぅ。ううう」

 ベルメリは、泣きまねするとじきに涙が出るという技があった。

「もう、ちょっと強く言うとすぐ泣きだすんだから・・・」

 パパは情けなさそうに呟く。

 セーン、及びヤモ、ヤーモはさっきのベルメリの魔法使い嚙みつき技を見ているので、これはきっと芝居だろうと思えた。パパが思っているほど気が小さいわけではないと分かっていた。

 三人は笑う訳には行かなくて苦労していると、

「夜までだな、今晩泊るなんぞと電話をかけてきたら、ママに言っておやつ抜きだし、今年は何処へも連れて行かないからな」

「今晩帰って来るわよー。ヤコだってココモ君だってまだ学校なのにっ」

「そうかいそうかい。ハイスクールにも行きたいか。じゃあ、パパは先に家に帰っているからな。セーンさん。きっとつれて来いよ。言う事聞かなかったら、俺を呼べ。今晩はきっちり家に連れて帰らないと」

 そう言って立ち去ったパパ。

「わーい。ヘキジョウさんっ子に心配かけたし、謝らないと。あ、謝るのはヤッヤモだった。連れて来るの忘れちゃったから、戻ってってヴァンパイアさんに頼んだら、態度が変わって、だまされていたってわかったの。セーンさんやヤモさん、ヤーモさん。助けに来てくれて嬉しかったわ。あたしの居所が分かるなんてすごいわね。ありがとうございますっ」

 そう言ってにっこりするベルメリを見て、セーンは『お見事』と思うしかなかった。


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