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第10話 ベルメリに翻弄される面々だが・・・

 

 ベルメリは急いで家に戻った。パパもママも居間にいた。

 そうだった、夕食後、きっとバルン先生は、ニールに行ってしまう。ベルメリはヤッヤモよりも、もっと小さな子が、それも大勢ニールのニキ・グルードさんのお宅に居ると聞いて、会って見たくてたまらなかった。そこで、バルン先生の所へ行ってみて、ベルメリがニールのお宅へ行く事が出来そうなチャンスがないか探るのだ。有るか無いかのチャンスにかける事にした。

 パパの、

「暗くなったのに今頃から何処へ行くんだ」

 と言う声が後ろから聞こえたが、構わず校医バルンさんのところへ、走って行ったのだった。


 そういう事で、家に慌てて戻ってくると、

「ただいま、パパママ、お願いがあるの。良いと言ってね。絶対よ」

 叫びながらパパとママに宣言して、自分の部屋へ急いで行ってしまったベルメリ。

 ママはため息をつきながら、

「あれはお願いと言うより、ベルメリの決定事項ね。何の事だか知らないけど。もう、あなたが甘やかすから、したい放題じゃないの。何を始める気かしら」

「どうやら察するところ、ニールのお宅に押しかける気だな。知っているだろ、ベルメリの最近のペット。あれの関係だ。最近私だって反省しているんだよ。これでも」

「ニールですって、あの子そんな遠くに知っている子がいるの。あ、分かった留学生ね。困ったわね、あなた、女の子が他所のお宅に泊りに押しかけるなんて、許して良いものなの。どうするおつもり。きっと荷物をまとめて居るようよ。あたし達が良いって言いもしない内に」

「すまん。わしは止められない。君から話してくれ。世間の常識をな」

「ま、分かったわ。あの勢いじゃ何をお願いしているか言わずに済ます気かも」

 ベルメリのママはずんずんベルメリの方へ向かっているのだが、なかなか前に進まないので、不思議に思って前方を目を凝らして見ると、何とものすごいハンサムの男が二人も、いつの間にか廊下に居た。

「きゃー、パパああー。変な人が二人も-」

「どうしたんだ。ママ。あっあなた方はひょっとして」

 セーンの事情としては、荷物だけ先にニールに送る事を同時進行にしていると、瞬間移動先の位置が部屋の中になってしまって、ぞっとするほど恐縮していた。玄関前に行くつもりだったのだ。

「どうも、失礼な事をしでかしてしまいました、お許しください。私はベルメリちゃんのクラスメイトのチーセンとラーセンの父親で、セーン・グルードです。こちらは・・お前は自分で自己紹介しろ」

「ですよね、私は最近噂の、ガーレン・バルンです。校医でしたが噂が立ちすぎて、今日辞表を出してニールの、この男の息子の家庭教師になりに行くところでして、そこに小さなヤモリ風の子供の使い魔がたくさんおりまして、ベルメリちゃんはその子らを見に行きたいそうで、ご両親に許しを得る事が出来ればご一緒に、と思いぶしつけと思いながらやって来ました。このセーンは瞬間移動の能力が有りまして、一緒に連れて行こうかなと言う事になってしまい、押しかけて来た次第です」

 セーンはガーレンをちょっと睨み、

「お前、今の言い方だと自分は賛成じゃないように聞こえるぞ。俺が来た時は、お前、誘って居なかったか。ベルメリちゃんを。割と熱心な印象だった」

「いやいや、何という誤解だ。僕は僕が誘ったなどと思われてはならないから、言い方を考えたんだ。余計な事言ってはならないと思ったんだ。ベルメリちゃんが可愛くて等、口が裂けても言えないぞ」

「ほう、お前段々口が裂けだしたようだな」

「あっ、言ってしまった。いえご両親、僕は品行不正な校医です。噂は違いますから。チーセンラーセン及び他の生徒に聞いてもらってもかまいません。あ、噂を流している生徒には、聞くのはやめてください」

 セーン、

「どうも怪しげな男を連れて来た所為で、ベルメリちゃんが危険な目に合わないか、ご心配でしょうが。決して危ない事にはなりません。私が保証します。あ、私も面識は無かったですが。学校関係者に聞いてもらえば、怪しい者ではないと思いますが。えーと校長に電話しましょうか」

「いえいえ、セーンさんはテレビで拝見した事がありますので、存じております。信用のおける方と分かっておりますわ」

 ベルメリのママはそう言って、うっとりセーンを見つめていた。パパもママが言うので思い出し、

「そう言えば何かの事件の時、インタビューされて居た気がするな。それではベルメリがニールのお宅でご迷惑をかけやしないか心配ではありますが、一晩だけですよね、明後日はまた学校がありますので、休みの間だけと言う事で、お願いします」

 と、仕方なく挨拶した。仕方なくである。気ままな子になったのは自分の責任だと分かっているパパ。このセーンと言う人は、これも噂であるが、ものすごい魔力と聞いていた。彼の所に預けるのだから、どこにいくよりも案全だろうと思えた。

 そこへタイミング良く荷物片手にやって来たベルメリ。

「わ、話はもうつけてくれたのね。良かった。パパママ、あたし1日だけお泊りして来るから。ヘキジョウさんっ子ってひとまとめでそう呼んでいるんだって。すごくかわいいと思うの。楽しみなの。じゃね。セーンさん準備できましたー。お願いします」

「はいはい、良かったね行って良いそうだから。では御両親、明日夜連れて戻りますから」

 セーン達が話を付けたようなものだが、ベルメリは機嫌良くニールへ向かうのだった。



「キャー、カッワイイー」

 ご当主、ニキ・グルードさんへの挨拶もソコソコに、ベルメリはヤッヤモからあらかじめ聞いていたヘキジョウさんっ子ちゃん達の居る部屋に走って行っての嬌声。

 セーンのポケットに入っていて一部始終は承知のヤモ、

「とうとうあの嬌声をここで聞くことになったな。ヤーモ、あの子は自分ちに戻る事は無さそうだと思うが、おまえはどう思う」

「セーン、ちゃんと一泊で連れて戻れよ。首根っこ捕まえてでもな。ヤモ、賭ける気だろ。俺は一泊で帰ると思う」

 ヤモは、

「ふふん、世間を知らないと、ヤーモは今に臍を噛む事態になるぞ。あの子帰りゃしない。顔半分倍増し殴りでOKだろ」

「わかった」

 セーンは使い魔のいつもの自虐的賭けを聞いてため息をつきながら、ベルメリちゃんの様子を見に行く。

 ガーレンはニーセンユーセンは既に眠っていたので、爺さん婆さんと居間で昔話的世間話をするつもりだ。


 ヘキジョウさんっ子たちはそろそろ壁に張り付いて眠る時間なのだが、ベルメリが来ると察しているようで、まだ人型でいてベルメリからかわるがわる抱っこされたり、頭をなでられたりしていたが、我慢できずにヤモリ形に思わずなって寝落ちする子もおり、そのたびに、

「キャー、可愛い子っ」

 と叫ばれているが、眠ってしまえばいくら大声を出しても目が覚める事は無いようで、会ってすぐに馴染んでいる様子には、呆れてしまうセーンだ。横でニコニコベルメリの様子を見ているヤッヤモに、

「おい、ヤッヤモ。もう、ヘキジョウっ子を解放した方が良いんじゃないか。ベルメリちゃんが知恵熱でも出しそうな勢いじゃないか。明日はセピアに返すんだろう。熱が出たので、家に戻れないし、しばらく学校は休みますとか言う事になったら、俺の顔が丸つぶれなんだけどー」

 ヤッヤモは、

「セーン、何だかベルメリちゃんに変な知恵つけているんじゃないか」

 と呆れたように言った。

「何言うんだ、お前、最近奇妙な解釈し出しているな」

 クスクス笑うベルメリに、

「さぁベルメリちゃん、うちのメイドさんが部屋の準備をし終わったようだし、今日の所はもう夜も更けた事だから、風呂にでも入って寝てくれないか」

 セーン、セピアの御両親の様子を見て、対応はお願い系である。

「あら、せっかくだけど、お部屋はあたし、ここが良いんだけどー。だって別の部屋に居たんじゃ、皆の眠った様子が見られないし」

「君、今晩、徹夜でもする気なのか?」

 セーンは驚いて聞いてみた。聞くまでもない事のようではあったが。

「私、徹夜とかはした事ないですけど、でもせっかく来たし。やはり眠くなったら眠りますから。ここには布団もあるし」

「この布団は、ヘキジョウっ子のお昼寝の布団だよ。言っておくけれど、おねしょだってしているはず」

「でも-、あたしはここで眠りたいですっ」

 セーンは、

「ヤッヤモ、後はおまえが責任を持って対処しろ。おれは引く」

「はーい、僕としてはおもてなしに徹しますからー」

 セーンは、この件は引くことにした。


 ベルメリはお風呂場にメイドさんが案内してくれたので、ヘキジョウさんっ子と離れたくなかったけれど、せっかくなので機嫌よく入って持って来た着替えを鼻歌混じりに来ていると、

「ゴキゲンね、お嬢ちゃん」

 驚いて振り返ると、ものすごくきれいな女性が、ベルメリをにっこり見ていた。脱衣場にいつの間に入って来たのか知らないけれど、

「あのう、このお宅の方ですか」

「ええ、と言うよりちょっとした知人なの。あなたが来ていらっしゃると聞いて、耳寄りな情報をお伝えしようかしらと思ったの」

「耳寄りって?」

「ええ、あなたの希望が叶うかもしれない話って事よ。知っているでしょ。ガーレンはあるヴァンパイアとママとが付き合っていて妊娠したハーフという話。魔の国ではそういう研究が進んでいるの。言わば生物の進化よ。女性でも活発な活動をしている人も多くてね魔の国では、女性でも男性と同じような能力なのだから子供は欲しいけれど、妊娠中はお仕事とかどうしても無理な時期があるでしょう。その時期にはキャリアとか前より地位とかが落ちるのが、ちょっと我慢できないっていう女性が増えて来て、いわば必要を感じたの。一部の能力のある女性たちがね。それで魔の国に居る選りすぐりの魔法使いが研究に研究を重ねて、結果を出したのよ。最近の事で、まだ世界に発表はしていないの」

「あの、何の事でしょうか」

「分からない?あなたがずっと望んでいた事よ、そして魔の国に居る優れた能力の女性も望んでいる事。卵で子供を生むって事よ」

「まあっ、そんな話、聞いた事ない。本当なの」

「ええ、魔の国では数人成功しているけど、まだ世界に向けて発表するにはデーターが少ないの。あなたは、出目は魔の国でしょ。お父様がね。お母様は普通の人と思っているんでしょうね。あなたもあなたのパパも知らないらしいけれど、彼女もあのガーレンさんみたいにヴァンパイアと普通の人とのハーフなのよ。だからあなたにも強い魔力があるでしょう。パパが不思議がって居なかった?魔人と普通の人のハーフにしてはあなた、魔力が多いんじゃないの」

「そうらしいです」

「あなただって、魔の国の魔法使いの技で、彼が出来たら子供は卵で産んでおいて、身軽に何かのお仕事に集中して、キャリアを積んでいけるのよ。魔の国には女性の社長や市長が男性とほぼ同数、でも、どうしても妊娠すればそこで腰を折って来まうの。だから卵で産んでしまえば、ブランクなど出来ずに、並み居る男性よりも優れている人はどんどん出世していくのよ。どう、すばらしいでしょ」

「あたしは、そんなに出世欲は無いけれど、でも卵で産みたいのはホントよ」

「じゃあ、試してみない。魔法使いは言わば魔法だから、施術に時間なんかかからないのよ。お腹に魔法をかけるだけ、一晩だけよかかる時間は」

「そうなの」

「もう何人も成功しているの。あなた、まだ、付き合っている彼は居ないの。じゃあ、まだデーターは出せないわね。でも、可愛いから卒業までには、結果を見る機会があるんじゃないの。おほほ、学校に通っていても、卵で産むんだもの。学業に差しさわりなんか無くってよ。どう。試してみない」

「あたし、卵で産みたかったの」

「でしょう、今日が良い機会じゃないの。今から魔の国に行ってまだ夜が明けないうちに戻れるわ。あたしと瞬間移動で行ってみる?」

「ほんと、出来るの」

「ええ、いらっしゃいな」

 ベルメリはこの館の人の知り合いと言う女性に、瞬間移動で付いて行ってしまった。お風呂場からである。つまり、ヤッヤモは側には居なかったのだ。

 ヤッヤモはベルメリがお風呂から上がって、ヘキジョウさんっ子の所へ来なかったので、『まぁ、おねしょの布団は遠慮するよな』と思ったのだった。


 次の朝、ヤッヤモの所へ血相を変えたセーンがやって来た。

「ベルメリは、どうしたヤッヤモ、ここで昨夜は寝なかったのか」

「うん、だってこの布団じゃ嫌だったんじゃないの」

「準備した部屋で眠った気配はない」

「ええっ、居なくなったって事」

「俺が寝るまでは、あの部屋にいるようだったが、今朝部屋に居た気配がない」

 ヤモは人型になると、

「風呂場を見てみよう」

 と言って部屋を出た。風呂場からヤモは叫ぶ、

「畜生。あの野郎の匂いだ。セーン。あのくそヴァンパイアの匂いがする。ベルメリちゃんはあいつに連れて行かれた」

 セーンは、がっくり頭を垂れた。

「何のために?どうやって?結界はどうして破られたんだ」



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