インターホン
マンションの、とある一室の前に暗財は立っていた。辺りは、田が並んでおり、人の姿は見当たらない。とても静かだ。暗財は静かなのは好きだった。暗財は、仙台市の中心部のマンションに住んでいるため、こんな静かな場とは、無縁だった。だが、今の仕事に就いてからは、当たり前のようになっていた。
手袋をはめ、暗財はインターホンを鳴らした。辺りに、インターホンの音が響いた。暗財はインターホンの音も悪くない、と思う。
そして、もう一度インターホンを鳴らす。誰も出てこなかった。つまり、この住人は今、外出しているということだ。
暗財は笑みをうかべる。その後、ズボンのポケットからドライバーを出した。そして、ドライバーを、鍵穴に差し込み、ゆっくりとドライバーを回転させた。
「ガチャ」という、鍵が開いた音が聞こえた。これもいい音だ。暗財は、また笑みをうかべる。
恐る恐る、ドアを開けた。
部屋の中も静かだ。まだ住人がいるかもしれないと、足音をたてずに歩いた。誰もいないことを暗財はもう一度確認した。リビングにたどり着く。太陽の光が窓から入っている。まぶしくはないが、入っていた。右前方に棚があった。暗財は、その棚に近づいた。そして、棚の引き出しを開けた。中に、金になるものは無かった。暗財は、舌打ちする。そして、そのリビングの中で、金をさがしていた。だが、なかなか見つからなかった。リビング意外にも行ってみたが、見つからない。
仕方がない、と暗財は玄関まで戻った。