自由恋愛の国
何度となく仕掛けようとするも、考えただけで足元を掬われたり全く別の悪事が曝け出されて失脚したりした。
余りにも守られている様子に周りは、
王子には「神の力」があり、女神に愛されていると噂さした。
実際、神の声を聞く巫女が、
「この国は女神が守護しているの。女神は争いを決して望まない、ナトゥーアを守護する美の女神の授ける力は、水や空気、作物に至るまでその力が溶け込んでいる様です。
善行を積み祈りを捧げ続けると女神の恩恵によってその者は自分が望む容姿となり、慈愛に満ちて心が美しい程その容姿は美しくなります」と神託を下した。
それによって元々女神から恩恵を受けて美しくなっていた貴族達は更に善行を積み、王子に協力的になり、見た目だけで無く心も美しくなると、更に美しさに磨きがかかった。
王子のやり方に不満があり、不満ばかり溢していた貴族達にも王子は寛容で、合わないのは仕方が無いと王子が他国に掛け合い、相応の立場を持って国を移動させた。
次世代を担う王子が沢山産まれた。
王女も沢山産まれた。王女はハーレムの妻達から色々な事を教わり、他国に嫁いで行って国同志の繋がりを築いたり、王とハーレムを支持する人材と婚姻して国を支えた。
王子が沢山居たのでハーレムは更に大きくなった。その頃には王子と結婚したければハーレムに入るのが良いと噂が流れ、王子達は常に求婚をされていた。
皆ハーレムに入りたがった。
美しい王子の愛を望んだ。女性達は芸を磨き、こぞって王子達の気を引いた。王子達はそれぞれお気に入りを沢山見つけた。
芸術に秀でていた王子達の妻は
皆芸術に秀でていた。
気付けば芸術の国と言われる程になっていた。
ハーレムの女性が美しく優秀になると男性達が放っておかなくなり、あちこちで色恋のトラブルが多発した。
王子達の妻が不貞を働くなんて!
と憤りを見せたのは王子達では無く、妻の親たちだった。
王子は自分の妻達に与える愛が足りなかったのだと反省していたのだ。
王子達は王に不貞をした妻と相手に対して罰を与えなくて良いと願った。
王子達は女神の寵愛を受けて常に人を喜ばす事を思いやる事を考えて生きて来たので、
自分だけが沢山の妻を持ち、相手には自分
だけを愛せとは言えないと考えていた。
王子達はいずれ王とそれを支える臣下となった。
王はなりたい者が交代でなった。
何代かすると、王族以外は美女に使える従僕になった。その歴史が繋がった結果、
全ての女性がハーレムに入る
自由恋愛の国が出来上がった。