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真実の愛

「ソージュ、今いいか?」

訓練中の息子を何とか捕まえる。


「何のご用ですか?」

ソージュが冷たい。視線が訓練の邪魔だ、

早く帰れと言っている。


「お前のこの先について話し合いがしたい。今から私の自室で話そう。ついてきなさい」

真面目に話すと、ハッとして

「分かりました。直ぐに伺います」

と、使っていた剣や防具を片付けて、

エストラゴンに了承を得て、頭を下げてからこちらに戻ってきた。


エストラゴンはこちらに目だけ向けて

ニヤリと私に頑張れと伝えた。


部屋に行くまでに何人ものハーレムの住人や従僕とすれ違った。


そのうち、何人かはハグとキスをしていった

息子も同様にハグをしてキスをした。


部屋に入る頃には

息子は大層機嫌が悪そうだった。


「ソージュ?嫌だったか?済まないな」

声をかけると彼はしまった!て表情をこわばらせた。


「心配するな。責めているわけではない。

先日エストラゴンとお前の将来について話をしたんだよ。ソージュの心の底からの望みを父に教えてくれないか?」

苦しまないでくれ


「父様、心配して頂きありがとうございます

私のことは大丈夫です。王族としてちゃんと向き合って行きます」

ソージュは下を向いて頭を下げている。


「お前は、この国を出てゴルドファブレンに留学するつもりはあるかい?私は昔学園でエストラゴンと出会って親友になったんだ」

ソージュが「え?」っと表情を崩した。


「お前が望むなら、留学もその先他の国に行くのもいくらでも後押しするぞ?私を誰だと思っている?お前の父親だぞ?私は息子の幸せの為なら頑張るぞ?」

ソージュが目をぱちぱちしている。

理解が追いつかない様だ。


「だから、お前の今の、この先の、将来の望みを教えてくれ。頼む、父親らしい事させてくれ!このままでは、エストラゴンがお前の父親みたいではないか!」

最後に本音が出たが、まあいいや


ソージュがクスクス笑い出した。

「お父様、確かにエストラゴンが父親の様には思いますが、残念ながら僕の顔はお父様にそっくりですから、僕の父親はお父様です」

確かにソージュは私によく似ている。

色男に育ってきたな。じゃなくて、

「残念は余分だ!で?望みはなんだ?」

父で遊ぶでない。


「僕は、ハーレムの在り方に馴染めません。

皆、良くしてくれるのはありがたいし、

この国の王子に生まれたからには責任を果たさなければと頑張っていたのですが

必要以上に構われる事が多くて、1人になりたくても皆寄ってきて、嫌な顔も出来ず、段々と苦しくなってきて。

ずっと何で何だろうと考えてました」

やっぱり合わなかったか。可哀想だったな


「僕は、唯一の人と添い遂げたいし、誰かと共有なんて出来ないし、されたくない。

恥ずかしい子供じみた考えかも知れませんが

[真実の愛]に、憧れがあります」


言い切った後に真っ赤になるのは狡いぞ?

可愛すぎるだろ?


「可能なら、留学したいし、許されるなら国外で生きて行きたいです」

言いたい事が言えてスッキリとした顔をしている。


これでいいんだ。


「お前の気持ちは良くわかった。その様に手配しよう。学園には王子として行きたいか?

それとも、どこか養子に入るか?ハーレム出身者はあちこち居るぞ?」

どこにでも親戚は居るしな。


「出来れば王子である事は内密に一般貴族として学園に通い騎士になりたいです。可能なら養子ではなく在学中に功績を上げて当主としてエストラゴンの住む、ヴァルド国に共に行きたいです。間に合わなかったらその時は養子縁組をお願いしてもいいですか?」

やっぱりエストラゴンかそりゃそうだよな


「王子じゃなくなると色々大変になるが本当に大丈夫か?私の元を離れ国を出てもお前は私の息子だ。何か必要ならいつでも頼っていいのだからな?」

音信不通はやめてくれよ?


「はい、父様。ありがとうございます」


息子の心からの笑顔を見れたのはいつぶりだろうか?



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