【第10週】 ■18■
「ねぇ…、もっと落ち着くトコへ行かない…?」
ねっとりとしたディープキスを終え、彼女は潤んだ瞳でアキトを見詰める。
「ああ…、そうだね、じゃあ、出ようか…?」
おでこ同士を触れ合わせ、アキトは快諾した。
「あ。ごめん。」
ダンスを楽しんでいる人々が集う、混雑したダンスフロア。
その中を掻き分け、彼女の手を引きつつ、アキトは一緒に来店していた友人達の事を思い出す。
「おーいっ!アキトぉっ!」
ダンスを楽しんでいた知り合いが、アキトへ声をかける。
「おぉ、吉田ごめん。俺、帰るねっ♪」
アキトはダンスナンバーの爆音が響く下、声をかけてきた吉田へ聞こえるように、顔を近づけて、そう告げた。
「あっ。おぅっ、おおーっ♪わかった★」
「他の奴にも言っとくよっ☆」
吉田は、アキトが見知らぬ女性と手を繋いでいるのを見て、事情を察する。
仲間の承諾を得てアキトは、彼女と再び店外へと歩みだす。
にこやかに微笑み、吉田は二人へ大きく手を振った。
「ところで、君の名前は…?」
「アタシ?リンカ、杉本リンカよ。」
吉田の問いかけに、リンカは微笑んで名前を告げた。
その笑顔は女性らしく吸い込まれる様に妖艶で、アキトの男をより一層興奮させた。
■■■終■■■