【第10週】 ■12■
「ふぅ…、まあ、刺し違えたなら…、ヨシとしますか♪」
溜息を吐くと、ディライラは緊張していた表情を緩めた。
「正面玄関しか出口は無いですもの、これは死んだでしょ♪」
火災で焼き落ちる倉庫、それを嬉しそうにディライラは眺めている。
まるで、キャンプファイヤーか、花火を観賞している様だ。
「お可愛そうに、リンカさん♪」
「もっと、素直な方でしたら…、お友達になれたかもしれませんのに…★」
満足げに火災を観賞している彼女の後ろで、左神は帰り支度を整えていた。
リムジンを始動させ、ディライラの背後へつける。
「うふふっ♪モルタル製のビルですけど、良く燃えますわねぇ~っ♪」
熱そうに手をヒラヒラとさせ、ディライラは自分を仰ぐ。
「まあ、これでリンカさんも御終いでしょうし、懸念がヒトツ減りましたわね♪」
短髪に髪を刈り上げた赤鬼、左神が、彼女の為にリムジンの扉を開く。
誘われるままにディライラは、その身をリムジンへと滑り込ませた。
左神は、彼女が車へ乗った事を確認するとドアを閉める。
そして、自身は運転席へと向かった。
「総理の隠し資産も頂戴しましたし…、今夜はゆっくり眠れますわぁ♪」
リムジンがゆっくりと走り出す中、彼女は車の冷蔵庫からシャンパンを取り出す。
クリスタルガラスのグラスを取り、手酌でシャンパンを注ぐ。
優雅に勝利の美酒を準備しているディライラの横を消防車が通り過ぎる。
「あらあら★夜遅くまで…、ご苦労ですコト♪」
防音性能が高い車内には、消防車の甲高いサイレンの音は微かにしか聞こえない。
車窓からオレンジに染まる火災現場を眺めつつ、ディライラはシャンパンを煽った。
「あぁー~っ♪なーんかっ★」
「炎を見ていたら、焼肉が食べたくなってきましたわぁ♪」
天井を見上げ、耐えきれないという雰囲気でディライラは声を上げた。
ぶんっと天井を見上げていた顔を運転席へ向け、がばっと運転席の背中側へ体全体を寄せる。
「左神っ、焼肉にでも行きましょ♪」




