野外活動
つい最近までの話。私には好きな人がいた。その人、はやとは明るくて、元気でみんなからの人気者。まさに私とは正反対の性格をしていた。だからこそ、惹かれるものがあったのかもしれない。きっかけっていうきっかけもなくいつの間にか好きになっていた。
小学五年生。私たちは野外活動に来ていた。一緒の部屋の子にはとても仲のいい子から全然話をしない子まで幅広くいた。その日の夜。私たちは野外活動や修学旅行といえば、ともいえる恋バナをしていた。
「みんな好きな人いるー?」
そんな会話から始まった。同じ部屋の子の人数は5人。全員に好きな人がいることを知った。ひとり3つずつヒントを出して好きな人を当てていく、そんな風に会話は進んだ。誰が好きなのかなんとなくわかっている子から全く検討がつかない子、予想してた人と全く違かった子がいて、面白かった。そして次は同じ部屋の中で私と1番仲のいい女の子、れなの番。彼女は学年1可愛いと言われても過言では無い、勉強もできればスポーツもできる、ピアノもできてお菓子作りも上手い、私の憧れの子だった。ヒントを聞いていくとすぐに私は彼女の好きな人が誰なのかが分かった。それはそうだ。私の好きな人、はやとだったのだから。とてつもない衝撃をうけた。この子にかなうわけがない。こんな女の子のお手本みたいな子に。男子からも女子からも好かれてるであろうあの子に。みんなの眼中にも入ってない私が。そんな私の気持ちとは裏腹に皆は「れなちゃんならいけるよ!応援してるね!」と応援の言葉を向けていた。
実は野外活動の少し前、私は「はやとはれなちゃんのことが好き」という噂を聞いていた。その時は悲しかったけどもし、はやとがれなのことが好きだったとしてもれながはやとのことを好きじゃなかったら大丈夫、そう思っていた。でもれなが好きなのははやとだった。正直2人はお似合いだった。私があの子に、れなに勝てるわけがなかった。
そして次は私の番だ。いくらでも誤魔化しようはあったのに私は正直に好きな人がはやとであることを伝えた。みんなは気まずそうな顔をしながら「応援してる!がんばれ!」と私に言った。私はお礼の言葉を言いながらも「どうせみんな私には無理だって思ってるんでしょ?」と考えた。その後はもう諦めようと何度も思った。でもそう簡単に諦めるのは無理だった。