2話
あたりは生い茂っている植物で太陽の光はあまり入ってない様子だった。
セリーナは特に気にする様子はなくどんどん細道を進んでいた。
「ねぇニルちゃんあなたはどこから来たの?」
会って間もないのに満面の笑顔で問いかける。
まるで迷子の子供を安心させるように。
「答えられない」
(正確には答えることが出来ない。僕の使命を達成するまでは)
彼女は壊れた心臓部位を軽くなでながら脳内でつぶやいた。
「ふーん、ほんとに秘密だらけなんだね」
しばらく沈黙が続き、2人の間では独特の空気が流れていた。
2人のどちらかが口を開くのをまたんとばかりに時は流れていく。
(微かに血の匂いがする。村の近くだったら比較的安全だと思ってたけど)
アヴニールは茂みの周りの血の匂いに気付いていた。
彼女がが口を開こうとしたとき
「ニルちゃん!この先が村だよ!」
少女は髪をなびかせながら無邪気にかすかな太陽光で照らされている場所へと駆け抜ける。
アヴニールも少女に歩調を合わせようとしたとき、茂みから嫌な予感がした。
「セリーナ!屈め!」
茂みから触手が現れ一瞬で少女の足をさらってしまった。
「きゃあっ!」
茂みのふもとの穴に吸い込まれるように彼女は落ちていった。
アヴニールはセリーナがさらわれたのにも関わらず冷静に状況を分析していた。
「セリーナがさらわれたっていうのにどうしてここまで冷静にいられるんだ...」
彼女自身も困惑していた。
「こんなこと考えている場合じゃない、とにかくセリーナを追いかけよう
セリーナを助けないとエネルギー補給が出来ない」
彼女は淡々と茂みのそばの穴の中へと入っていった。