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文明が滅びた10000年後の地上で再会するキカイ傭兵と設計者の少女 原題:メタルエイジのMO-GA  作者: カズト チガサキ
銀雪と結束の第二章 氷獄の統率者・オウガ
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【約束】4 34/39

Å《リーダブルボルト》くんが一章ぶりに登場の前話。

 勝負を決めるに足る(一撃)がユキダルマ・アニマの中心を穿った。


 槍を伝うプラズマの威力に周囲の空気がビリつく。

 バリアブルスピアが壮絶なバイブレーションを起こす。

 その激しさが、与えたダメージの深さを物語った。


 Å《リーダブルボルト》を撃ち尽くすとそれきり、雪中のユキダルマ・アニマは沈黙する。


「目標、撃破。視えていた気配がカンゼンに消えた」

『倒せたようダな。ブレンドアーチとしての戦い方も及第点デあった』


 深々と雪を貫いたバリアブルスピアを引き抜くと、穂先に戦利品が刺さっていた。


「岩塩か。体内までイワダルマ・アニマとソックリとはな」

『岩というヨり氷デはないか? 氷漬けノ塩だ』


 いずれにせよ、今は塩に構っている場合ではないな。


 突き刺さっていた塩の塊を放り捨て、後続の銀雪民たちに再び前進の合図を出す。


 下山の再開。また終わりの見えない行軍だ。

 モガ・ブレンドアーチの観察眼が安全、最適なルートを選び取る。

 もう測量のように歩数をカウントする必要もない、か。

 モガが残した足跡をなるべく正確になぞりながら、銀雪民たちが後ろをついてくる。






 オレはアイツらを一口に銀雪民たちと呼ぶが、今日までの経緯や下山に対する覚悟が実に様々である事を、この約一ヶ月で思い知った。


(ローは自身の事をホッキョクオオカミ型だからロー()無法者(アウトロー)のローだといっていたが、実際は銀雪民同士でのいざこざ、トラブルの緩衝材になりがちな面倒見の良さがある。


 無法者とは程遠い今の人格になった経緯はわからない。が、ヤツの事だ。今回の下山について不満や不安がある銀雪民もいただろうが、そういう銀雪民が下山に協力してくれるようアイツが陰で働きかけてくれたに違いない。それだけはわかる)


 列のかなり後ろから、誰かが誰かを励ます声が聞こえてくる。誰が励まされているのかは分からない。だが誰が励ましているのかは分かる。軽い調子の声音で、心に余裕のある兄貴分。いつも通りだ。いつも通りを装っている。アイツだって本当はキツいハズだろうに。


「今回のような荒天の下山、クナシの老体では堪えるだろう。だが、ヤツだって自身の記憶がかかっている。そう簡単にくたばってもらっては困る。アイツにとって記憶とはオレにとってのジエとドウギ(同義)だろう? オマエが捉えどころのないオトボケをかますたび、鏡を眺めている気分になったモノだ。


 山を下りきり、宿を再建したアカツキには、オレはまたジエを探しに行く。だからクナシ。オマエも、こんなところで倒れてくれるな。頑張れ、どうか歩き抜け」


 ひょっとしたら、ローが励ましているのはクナシかもしれない。あと少しだろ、顔上げてけよ。さっきから、そんな声が、彼方後方からしきりに届いてくる。


「それにオレには、マルボウと交わした約束もある。

 あの約束があるから、オレは倒れずに歩いていられるんだ……


 ……………………。」


 ヤツの小さなカラダでは、長時間の山行は困難だろう。アーチから借りた眼で、オレは安全かつ歩きやすいルートを踏みつけていく。マル坊でも乗り越えていけるように、と。


「それに――アーチ。オマエはもう、やるべきことをジュウブンやってのけた。あとは任せろ」


 背中で眠るコイツの目的は、元々ロクの傷心を解消してやる事だった。これだけ満身創痍になって、それが叶わないなどあってはならない。それではジエに顔向けできない。


 オウカに恩義を感じる銀雪民たちが、交代でユスの氷像を担いでいる。アレを平原まで届ける事が、当初のミッションだった。

 ペガサス・マキナをオウカに任せてしまってからというもの、ユスが氷から解放される兆しは特にない。それでも信じるしかない。疑ってすらいない。

 *《オーダー》などなくとも、オレはオウカが決めるオトコだと信じる。アイツもまたオウガの息子なのだから。


 ああ、なんだ、何が起こっている? さっきからずっと、列の後ろが騒がしい。


「あんちゃん……モガ! そっちはいけねぇ、滑落しちまぁ――――モガぁーーーー!」


 ローが。

 ローの励ます声が遠のいて、い、く……。


 モガのカラダが支えを失い、前のめりに倒れる。

 あわや雪山の斜面に身を投げる刹那、モガはようやく気がついた。先ほどから、ローは自分(モガ)をこそ励ましていたのだ、と。


 気がつかなかった。ずっと重たかった瞼は、とっくに閉じきっていた。


 睡魔に意識を奪われ、前のめりに落ちるモガを支えてくれる者はいない。当然だ。先頭を歩いていたのだから。


 もはやスクラップは免れない。地に叩きつけられて、それで終わりだ。


 モガも、後ろに続く銀雪民の誰もが、一秒先の未来に肝を冷やした。


















































 濃霧の向こうから異変を察知したチョオローが駆けつけ、モガを抱き支えるまでは。







(Å《リーダブルボルト》につづいてチョオローさーんも一章ぶりの登場)

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