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クールビズが常識を覆した世界線

作者: 旭 与五郎

株主総会である。

聡は、紺碧のアロハシャツにアイロンをビシッと決めて、漆黒の半ズボンで決めて臨む。先日の入浴時には、とりわけ腕と脚を丁寧に洗った。なにせ、若き投資家の映えある株主総会デビューだ。身だしなみに手を抜くわけにはいかない。

やがて、電車は最寄りの駅に着く。改札を出たところで、アロハシャツにレイを身につけた社長に遭遇する。

「あなたも株主総会にご出席ですか?」

まさか社長に声をかけられるとは思っていなかった聡は、少しあわてふためいた様を見せる。

「あ、はい、いつもお世話になっております。」

「こちらこそ、投資いただきありがとうございます。」

会場に入る。会場内には扇風機が至るところ設置されており、雨と汗に湿った投資家たちの体を乾かす。

聡は、ムームーを身につけた女性の隣に座る。

「千恵先輩、お隣失礼します。」

「あら聡くん、靴下にしわが寄っているし直してあげるね。」

やがて、厳粛な空気の中、総会が始まる。

「本日はお足元の悪い中、お越しいただきありがとうございます。」

そして粛々と総会は進む。

帰りの電車がホームに到着する。なにやら近頃流行りのアニメのラッピング電車のようだ。

聡と千恵が乗り込むと、車内にはただ一人、スーツとネクタイにカメラを構えたオタクが座っている。

明らかに性格の悪そうな井戸端集団も、同時に車内に乗り込む。

「やあねえ、こんな蒸し暑いのにスーツなんか着ちゃって。」

「きっと鉄オタかアニオタに違いないわ。」

「他に着るものがないのよ。」

オタクは、そんな会話も気にせず、車内放送の録音のため、マイクをスピーカーに近づけている。

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