第1話 夢 (1)
彼、高校2年生である田口亮太は突飛的な才能があるわけでもなく、運動神経も驚くことに平均中の平均。そんな彼に特技があるとすれば、探偵脳ぐらいか。。。
昔から、幼稚園では常に両親から探偵本のようなものを読み聞かされるという驚異な家族であったこともあり、
「あいつ、今まで話しかけて来なかったのに突然?」
と、些細な出来事さえ深く推理しのうを活性化させるぐらい、助けようがないのである。
彼は田舎の実家に離れ、亮太と姉と妹の三人と三人暮らしをしていた。なので、彼といえば嫌でも女性の生活というものを知っており、一人っ子の男子や妹や姉のいない男子が、
「妹とか姉とかほしかったなあ。。」
「だな。絶対かわいいし、家でもハレンチイベントとか起こりそうじゃん?」
「あ、それいいなあ!」
などなど片耳聞くと、経験した事ないからそんなことが言えるんだ。。と言いたそうなことを考え事にとどめる。妹や姉がいても、考え方がジョブチェンジするだけだぞ、と言いたかった。
「ただいま」
その後、私は電車10分ぐらいの距離から徒歩数分ぐらいまで家の玄関についた。
知らない男の人の靴?
なんて時々、男の人の靴なんてありもしないのに、あたかもあったように私の探偵脳は勝手に妄想を始める、困ったものだ。
そう思考をめぐりつつ、姉の靴があるということは仕事帰りのあとなのだろう。妹というと靴がなかったので、放課後ついでに友達や商店街やカフェでも言っているか?そう、考えを集中させていると廊下から声がかかった、
「亮、どうした?今日帰りが遅かったみたいだが?」
姉の名は田口未唯。ふう、我ながらの姉はそう、男口調である。親戚からそう聞かれたことがある上に、母親からは
「その口調はなんとかならないの?」
と直すことをどこか、懇願するような目で見てきたものもたびたびあったように気がする。
「ミイ姉?ああ、そういえば、図書員のしごとがあるって朝に言い忘れたっけ。」
図書員の仕事は常にいきなりやってくるので、朝に言い忘れることは当たり前なのだ、と言い訳する。
「ミイ姉こそ、今日早いじゃん?どうした、サポってきたの?」
「そんなわけ、ねえだろ。今日、残業処理がなかっただけだ。まったく、惨状処理がない日が続けばいいのによ」
時々、姉から愚痴を聞かされるからたまったものじゃない。私からすれば「うん」、「へえ」など相槌しかできないし。
「そういえば、リンがまだ帰ってきてないけどどうした?」
妹の名は田口凛。同じ高校で後輩だ。あいつは姉と真逆で女子力の塊である。料理はできるし、この家の家事だって妹がやっているのがほとんど。姉と妹を比べれば7対3とまでの比率である。
「リンなら、一回家に帰って、友達とカフェに行くと楽しそうに言ってたぞ。あれを見たときは位前でもスッキプしそうだもんな…」
「毎回ながらよく飽きないよね」
「思春期の女ってのはそういうもんだぞ。あ、そうか。お前、女友達がいないんだっけ…」
「別に、今の生活において女性と接触する理由がどこにも見当たらないだけだから関わっていないのはそういうわけだから」
「っぷ。そう言ってると、いつまで彼女ができないぞ。童貞のままで生涯を終わらせてもいいのか?」
はあ、余計なおせっかいだ。高校で女友だちと全く接戦がないのはどこの普通の高校生は当たり前だって。だよね?
「ミイ姉こそ、彼氏がいないじゃないか?」
お返しをしてみる。
「うるせえ。それよりもいつまで、玄関に突っ立ってんだ?」
あ、今話しをそらした。というより、玄関で長話をしてしまった。学校であまり話していなかったせいか、玄関に入った瞬間に饒舌になってしまっただろうか?
時計を見てみる。まだ、午後6時か。私は3LDKぐらいの大きさであるマンションの自分の自室に入り、制服のクローゼットに、カバンをベットの上で雑に投げた。