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006・妖精の気まぐれはメンドクサイ

視界が真っ白だったが一気に暗くなった。

多分、スクロールで転移してしまったのだろう。

と言う事は10階層かー。

でもきっとホームリターン的な魔法があるだろうから。と、気楽に構える。

それよりもミーヤとライラは大丈夫だろうか。パーティーメンバーを自分の元に召喚とかできるのかな。

などと考えていると暗さに目が慣れてきたがそれでもまだ暗い。

あたりを明るくするのに松明が見つからず「ライト」魔法が思い浮かんだので手当たり次第に放つ。

ぱぁーっとあたりが明るくなる。

目の前にアイアンゴレームが腕を振りかぶっていた。

とっさに後ろに飛ぶとすぐに壁にぶつかった。

しかしその壁が動き出した。何かと思い振り向くと壁ではなくそれもアイアンゴレームだった。

急いでオートマッピングと索敵を起動するとここは中くらいの部屋だ。それはどうでもいい。

問題は敵対するマークの数だ。ぱっと見で数えられない数。

視界だけであたりを確認するとアイアンゴレームだらけ。

流石にやばい気がする。直後、背後のアイアンゴレームに捕まってしまった。

ぼやぼやしている間にどんどんわらわらと詰めよってくる。

とりあえず脱出。力いっぱいにもがくと、アイアンゴレームの手が破裂した。

その破片で周りのアイアンゴレームが吹き飛んだ。

一気に冷静になる。あぁー自分って凄いステータスなんだなーっと。

探知で敵を見てみるとまだまだ沢山の敵対マークがある。

よし、片っ端から倒してしまおう。


数分後には殲滅できた。

当たりにはアイアンゴレームがドロップアイテムのゴーレムコアや鉄が散乱している。

「そういえば、クリエイトゴーレムとかやってみようかな。まずはコアが重要かな」

ゴーレムコアかき集めて合成して質の高いものにしていく。

「んーもっと質の高いものがいいなぁー魔力注いだらいいものになるかな」

適当に圧縮した魔力を注ぎ込んでみる。

コアの色が灰色からどんどん明るい色に変わっていく。

破裂しそうな感覚が来たので重力魔法で物理的に圧縮して更に魔力を注ぐ。

白くなっても更に魔力を注ぐとカタカタと震えだす。

流石にまずいと思いつつ更に注ぐとコアが透明になってそれ以上魔力が入らなくなった。

鑑定でゴーレムコアを見てみる。


世界のゴーレムコア:無名


あ、なんかやばいものになった。

まぁ細かい事は気にしなくていい。

今はゴーレムを作ることだ。

あたりに転がった鉄を全て使い、自分より少し大きいくらいのゴーレムが出来上がった。

元々の鉄は形を作る際に魔力で圧縮して作ったので、もう鉄と言う存在ではなくなっている。

鉄から魔鉄へ、そこからミスリル、更にはオリハルコンになりそしてヒヒイロカネという本来ならば長い年月をかけてたどり着く到達点へと。

「うん。これにコアを埋め込めばいいかな」

コアをゴーレムのボディに押し付けて魔力を流すとボディの中へと入っていく。

立っているゴーレムに体育座りするように命令してみる。

ゴーレムはイメージした指示通りに座る。


「できた」


そこで探知にまだ敵対ではない、マークがあることに気が付く。

地図にマークがある方に目を向けてみると宝箱がある。

とりあえず開けておこう。


パカッ

ベチッ


宝箱から何かが飛び出して顔面に当たった。

「いったーなのよー!!なんでなのよー!この炎の大妖精様に何するのよ!」

ぷりぷりと怒っている手のひらサイズの自称妖精はすぐに私が作ったゴーレムに視線が注がれた。

「あっ!いいのあるのよー!」

炎の妖精が私が作ったゴーレムに突っ込んでいきそのままぶつかって水面の波紋のようにゴーレムの表面が揺れてすぐに静まる。

ポカンとしていると、ゴーレムの見た目が金属質だったものがどんどんと人のように変わっていく。

更にゴーレムが勝手に立ち上がった。

「ふっふっふっ!このボディは最高なのよー!力がみなぎってくるのよー!」

もう見た目はほぼ完ぺきな赤髪美女が出来上がって立ち上がる。

「む、このボディ持ち主がいたのよー!自由に魔力が引き出せないのよー!さてはあんたなのねー!死ぬのよー!」

私の作ったゴーレムが飛びかかってきて馬乗り状態になった。

更にゴーレムは私に右の拳を振り下ろす。

すぐさま私はその手を掴んで止めるが、ゴーレムが左の手も振り下ろしてくる。

その左手も捕まえた直後、


バーン


壁の一部が倒れてきて、そこから2人の姿が現す。


「「ご主人!?」様!?」

「あ、いやこれは……」

「もーなんなのよー!この体の力を抑えられるとか信じられないのよー!」

空気を読まないゴーレムがぷりぷり怒っている。

「どういうことですか。ご主人様」

「なんか、自称妖精が私の作ったゴーレムに憑依したのかな?それで殺しに来た?っぽい」

かなり疑問視だらけだけど、実際私もわからないから必然的にそうなる。

妖精ゴーレムは相変わらず「なのよー!」とぷりぷり怒りながら暴れている。

多分、私のステータス以外では抑えられないだろう力で腕を振りほどこうとしている。

「あんたを殺してあたしはこの体で自由になるのよー!」

ライラはそれを聞いて状況をおおよそ理解できたようで大声で、

「ご主人様!その妖精に【契約】魔法を行使してください!魔力と自分の魔力を交換するイメージです!」

「っな!なんてこというのよー!やめるのよー!」

妖精ゴーレムが血相を変えてより暴れ始める。

「え?えーと【契約(コンタクト)】」


「ひにゃああああああああああああああああああああああなのよー!!!」


【契約魔法】を行使した直後、妖精ゴーレムは悲鳴を上げてのけ反り動きを止めそのまま倒れた。


「これでよかったのかな?」

「【契約】魔法は成功したと思われます。ステータスを確認すればわかると思います」

ライラに言われるままにステータスを確認すると、


名前:無名

種族:ブレイズスピリットノイド

使役者:ヨウ

Lv.30

HP:59999/60000

MP:60000


「うまく行ってるみたい。ブレイズスピリットノイド、無名ってなってる」

「初めて聞く名です。無名なのは使役者が付けるものですが、名付けると名付け主から魔力を受け取って強化される場合がありますのでご注意ください」

「ブレイズ系は炎属性の最上級にゃ。元が良くにゃーとこんにゃ高位モンスター?ノイドだから人かにゃ?は生まれないのにゃぁ。ご主人なにをしたのにゃ……」

「落ちたコアを全部固めて魔力を注いで圧縮したやつをヒヒイロカネになったゴーレムボディに入れた。それで近くの宝箱から自称大妖精がそのゴーレムに入ったらゴーレムが美女になって今に至るって感じ?」

「情報量が多すぎてよくわからんのにゃ……」

「流石ご主人様としか言いようがありません」

「んー……なのよー……ッハ!」

謎の口癖と共に妖精ゴーレムもとい妖精ノイドが勢いよく起き上がる。

「覚悟なのよー!!」

私に殴りかかろうとするも振りかぶったところで止まってしまう。

「……そういう事なのよ」

急に大人しくなり下を向いてぶつぶつと呟いてすぐにこちらを見て、

「新しい主!名前を教えてほしいのよー」

「ヨウ。ノギヒ・ヨウよ」

「私の新しい主。よろしくなのよー」

妖精ノイドは先ほどまでの態度とは思えない程恭しくひざまずいている。

態度の急変に面を食らうミーヤ。何となくその場の流れで対応するヨウ。

訝しむライラは警戒しつつ、

「妖精は比較的刹那的な行動が多いので何かしら企んでる可能性が否めません」

「そうなのよー。ちゃんと理由はあるのよー。契約によって主のステータスを見たけどあのステータスで私をねじ伏せる事なんで出来ないのよー。だから何か隠しててこのままここにいるより面白そーなのよー」

「まぁいいんじゃない?言う事聞くみたいだし」

「そーなのよーヨウの言う事よく聞くのよー」

「ミーヤとライラの言う事も同じくらい聞くようにねー」

「む……使役者じゃないから聞きたくないのよー。でも命令なら聞くのよー」

「よし。じゃー呼び名決めるよ。んーホロで」

「わかったのよーありがとなのよー」

「ところでどんな意味にゃ?」

「意味?んー炎のホとロイドのロ」

「……想像以上にシンプルだったのにゃ」


その後、ホロはライラが指摘していた強化は特になかった。

相変わらず裸なのでミーヤとライラが2人の間に見つけた「水面の身衣」という名前の通り水面模様で水耐性がわずかに上がる服を着せた。

「あんまり可愛くないのよー」

「今はそれしかないから我慢してください」

「地上に戻ってから考えるのにゃ。それよりこれからどうするにゃ?にゃーとしてはホロの事をさっさとマインに伝えたほうがいいにゃ」

「そうしようか。後にすればもっとめんどうになりそうだし」

「私も賛成です。ですが、少々休憩が欲しいところです。この階層をご主人様を探して走り回ったので」

「あぁーわかった。3時間くらい休憩しようか。私とホロで警戒しておくよ」

「ありがとにゃ~。にゃーも結構疲れたにゃ」

そう言って、ライラがアイテムバッグからマットを出して座り携帯食を食べ始め、ミーヤはそこに大の字になってなった。

私はこの部屋の入口、ミーヤが壊して来たところの警戒をすればいい。

とは言え、探知があるのでそれほど気を張る必要はないので、ホロに訪ねてみることにする。

「ホロは炎の大妖精とか言ってたけど、普通の妖精と何が違うの」

「それはもう色々なのよー」

「そっかー。火の妖精と炎の妖精の違いって何」

「それはもう色々なのよー」

「そっかー……」

「……会話になってないのにゃ」

ミーヤが目を伏せたまま呟いた。

するとライラが代わりに答えてくれた。

「人族の基準になりますが、妖精と大妖精の大きな違いは思考力の有無と魔力量になります。ホロの場合は精霊の一歩手前。むしろいつ精霊化してもおかしくなかったでしょう。そうでなければご主人様が言うゴーレムに憑依してもノイドまではならないでしょう」

「なるほどねー」

「そうよ、私は色々すごいのよー」

よくわかっていない気もするが大した問題にはならないと思うので放置。

「この体になってお腹すくのよー」

何の脈絡もなくホロが空腹を訴えてくる。

とりあえず、携帯食を与えてみる。

「ぱさぱさして不味いのよー……」

「贅沢なのにゃ。でも、その携帯食は不味いのは認めるのにゃ」

「なんでこんな不味いもの食べてるのよー」

「お金がないのにゃー」


ほのぼのとした会話に癒しを感じるが実のところそうなのである。

マインによって色々と免除されてはいるが今後の為に装備を買ったり店の開業手続きで入用が多いのである。

結果、今回は不味いが栄養価だけは高いこの携帯食になった。

ただ、それも今回だけだ。なぜなら容量無限アイテムバッグがあるので本来なら高価なものだけを持って帰るところ、嵩張って単価が安いものも大量に持って帰れるからだ。

その最たる例が回復薬の原料系である。この町はダンジョンが近い事がありモンスターと戦う者が多い。そうすると怪我をすることが多くなる。怪我以外でも非常用。魔力を持つものは魔力の回復薬。他に状態異常から回復する薬と多岐にわたる。

しかし、嵩張る割に還元率が良くない。まぁ回復薬に錬金してから売ることが出来れば全く違ってくるのだが。

殆どそうはならない。まぁ私はきっと出来るだろう。

なので、今回で普通の冒険者とは比べ物にならないほど儲かるのだ。

正直、楽しみになってきた。


3時間休憩中は5度ほどモンスターがやってきたが、ホロが拳一つで倒してしまって私の出番すらなかった。

ドロップは中級ポーションの原料だった。



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