善悪と改悪
橋倉は小関が過去に何をやらかしたのかくらい検討がついていたのだ。警視庁が中心に動いていることでスクリプトとの関係もあるので話は次いであるのだ。代表作のことを再び扱わすことで心のゆとりも導くのだとも言っていた。
「お得意先のレンタルスタジオだから事情を話したら理解してくれますから。」
「そうですか。でも、小関のほうも怪しんで張っている可能性もあるので嫌ですから下手には動きません。・・・それと警視庁の封筒を普通の茶封筒に変えてください。どんな言い訳でもしますから。警察もいてもらいますから大丈夫ですよ。」
「わかりました。先生は次回作を考えなくてもいいですから。このことが終わったら考えましょう。」
三枝は橋倉の言葉の重さも知っていた。高校生の時のようにうまくいくとも限らないのだ。大きなことをするのではなく、有名な雑誌というわけであっても誰もが記事を読むともわからないのだ。小関の足取りはテレビで映っている。ニュースでは本社ビル前で騒がしくなっている。ビルの前の玄関でマスコミが入り込み、押し入るようにしている。橋倉は仕事があるといって切ってしまったが構わなかった。記者は隙間を埋め込むようにしている。秘書なのだろうか。出てきて社長は来ていないと告げると1台の高級な車を見つけた記者が小関を見つけたのか指をさしていた。スタジオに戻るとキャスターがああでもないとか言っていた。
「小関さんが記者会見をするなりして真相を語っていただく必要がありますね。小関さんの行動を見ているとどうしているかとなっているんですかね。」
「周りの秘書に何かを伝えているんでしょう。・・・小関絵里さんは高橋製薬のお嬢さんですからね。幹部とかになって逃げるじゃないんですかね。そうなったら高橋製薬の信用問題にもなってきますよね。どう判断をなさるのか見ものですね。」
キャスターの顔がにじんでいるのは不信感だろう。専門家も高橋製薬としての動きを見ているのだろう。救いの手は小関には生まれないことが分かったのだ。行く道がなくなっていくのではないのだろうか。彼は携帯を持った。
「もしもし。」
「あぁ、三枝。小関絵里は道がなくなったな。」
「そうだろう。それで対談の日が決まったら来てほしいんだよ。上条さんとな。」
草間はわかっていたかのようにうなずいた。上条も何処かわかっていたらしく電話がかかって来た時にすぐに三枝だとわかったのだという。
「悪しき人を放っておくなんてできないだよ。」




