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御伽噺  作者: 実嵐
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色を得た烏

そのこともあって事務の人は採用とはすぐにならなかった。弁護士事務所としての心意気をついてこれる人じゃないと困ると思っていたそうだ。事務をするにしてもある程度の法律を知っていたほうが身のためになるといって必要なものを事務になると確定していない人も含めてやったのだという。事務は2人の予定に加えてパラリーガルを抱えたかったようだが、大きな事務所ではなかったためにパラリーガルになるような人材は来なかった。パラリーガルを抱えた時期もあったが、法律の勉強をしているうちに弁護士になっていなくなったのだという。

「先生が教えたパラリーガルだった人も小さな事務所に行ったと聞きました。大きな事務所だと契約によることもあるからと。訴えてきている人に寄り添いたいといっていたそうです。その人のいる事務所は民事も刑事も分け隔てなく行っているようで・・・。裁判所でも名前を聞く人になりましたよ。」

事務を決めるのも覚悟を問うことは少なかったのだ。面接のときも漏らしたのはプレッシャーを与えるための言葉だったのかもしれないと思ったらしいが、最終的にはこう言ったのだ。弁護士事務所の事務というのはお飾りでもなく大切な人だといったのだ。だからこそ、依頼者に対して親身になったりできるだろうかと。いってメールが送られてきたのだという。

「事務になる人にはメールを送るといって送られてきたときは驚きましたよ。もともと依頼者としてきていた人間を採用するなんてと・・・。」

「貴方なら依頼者に寄り添えると思ったが故でしょう。木佐さんはああ見えて紙だけではわからないことも攻め込んでくるんでしょうし。パラリーガルだった人も別の事務所に行っても活躍できるわけです。」

「法律を全て弁護士は覚えているものだと思っていましたけど、違いましたね。・・・そうですよね。扱う法律が違えばまた年度ごとに替わったりしてしまった追いつけないですよね。」

真摯に受け止めて働いているその人が輝いて見えた。三枝は木佐の話を聞いた後にシェアできるスペースへと戻って来た。ベンチャー企業らしい若手の社員とベテランの社員が入り混じって会議をしていたが、たわいのない話をしているようでもある。壁がないので漏れてもいい話をしているのだろう。隣ではパソコンの画面と戦っている私服の女性がいた。女性経営者なのだろうか。パソコンの画面で真剣に話し込んでいた。社員がいるのだろう。騒がしくも何処かきらびやかな世界から三枝は出た。

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