人の生き方
草間はある人物の存在もわかっているから言えるのだ。警察は上層部があっさりと権力にふさがれてしまうこともあるのもいてわかっているため、先ほどの言葉を漏らしたのだろう。三枝も草間だから安心できることがあるのだ。何処かにわたらないものがあっている。
「上条さんはどうしている?」
「調べているよ。思いれのある事件だからそれも複数の事故と思われたものが違うとなると警察に飛び火をして上層部の責任問題になってくる。そうなってくると天下り先に行くか懲戒処分となるかだろうな。」
その時の責任者捜しをしてやめさせてしまうのだろう。テレビで会見を行い、不手際だったというだろうが、反省の色のない言葉を連ねて形だけのもので終わらしてしまう。質問もろくに受けないだろう。そこに権力が混じっていれば余計にだ。
「警察は権力に弱く、市民のためとか言っているけどどうなんだろうな。」
「俺も此処にいても思うよ。だけど顔色を窺って事件の意図的に迷宮入りにするのは間違いだと思っているんだよ。身内に甘くしたら反感の眼が大きくなってくる。嫌がられたって仕方ないことだよ。民間頼っているくせに見下すなんて都合よすぎるんだよな・・・。」
草間はそう漏らした後、上条から呼ばれたのか電話を切った。三枝は元いた席へと戻ると彼女の決意の眼を眺めた。どうやらやめようとしているのだろう。
「先輩にも迷惑をかけるわけにもいかないので、さっき連絡があってバンドを本格的に組まないかって。昔のバンド仲間も未練があったんだと思います。だからまずは課長に明日話します。」
「そう。私は何も言わないけどね。弘樹もそうでしょう。」
夏樹は夢を追う彼女に応援も期待もしていないわけではないだろう。追いかけるのはいいのだろうから。お開きにしようという話になり、彼女はそそくさと帰って行った。2人だけになった。
「大変だな。夏樹も。」
「弘樹ほどじゃないわよ。仕事は何処かで生まれてくるんだろうから、それをこなしているだけよ。弘樹みたいに沢山仕事がかぶったなんてないわ。サイン会が1日で2回あったりするんでしょ。」
「いいんだよ。遠くから来てくれる人もいるんだ。当たり前なんだよ。それに大変だなんて思っていない。」
夏樹はそうとだけ答えた。三枝も帰ろうとしていると彼女だけはもう少しだけ飲むといって残った。そんな彼女を後目にしながら帰った。アパートには明かりを自らともすしかない。明日には木佐に会えるのだと思った。




