守るための
彼女は教師という職を選んだのは親がやっていた程度にしか思えなかったが、同窓会での姿を見ているうちに思う気持ちが膨れ上がる。
「特進クラスにいたっていうだけであれほどの考えが思いつくのかとしか思えなかったんですよね。生徒の反面教師として存在するから余計に考えます。」
「対談で止めれたらいいんですけど・・・。」
「貴方の仕事が導くことではないのは知ってます。けど、誰かが止めないと悪事は止まらないんです。お願いします。」
彼女は深い願いの上に行った。校長室に取り残された感じがあったがまるでそれがあっているかどうか見えてこない。校長が入ってきて最新設備について見せたいといわれたが、別段高校を回っているわけではないと断りを言って帰った。その帰り道に夏樹から連絡があった。バンドにいそしんでいる部下があってくれることになったのだ。木佐学と会うのは明日と決まっているが、対談については進んでいないようだ。橋倉から連絡を受けないところを見ると受けないのだろうか。夏樹から指定された何処かしゃれた居酒屋に寄った。少し来るのが速かったらしく1人でボックス席で座って待っていた。時間帯が速いのか騒がしさはにじんでいなかった。団体客の予約があるのか店員はなりふり構わず動いている。どれくらいたったのだろうか、夏樹とその子を連れてきた。
「遅れてごめんね。残業をしないつもりでいたんだけど、私なら更新を希望するって言われたから今日中に受けたら遅くなって・・・。」
「いいよ。俺もそこまでせかせかしているわけじゃないんだし。」
取り残されたように座ったなれないスーツを着ているようにしか見えなかったのだ。それでも座っている。店員にビールと白ワインとサングリアの赤を頼んだ。
「それで夏樹から話は聞いたけど、君なんだね。バンドへの熱が消えないのは。」
「そうです。先輩が知り合いが会いたいといっていると聞いてきたんですけど、まさか有名な三枝さんだったなんて・・・。光栄です。」
彼女は取り出した本にサインをしてほしいといわれた。文庫本だったが、確かに彼の書いた本だったのだ。快く書いたら彼女は喜んだ。
「俺のふがいない昔話でも聞くかい?君の参考になればそれで構わないし・・・。」
「いいんですか。雑誌とかでも語っていないことってあるんですか。」
「あるよ。加工して編集者の人にそれっぽく書いてもらっているだけだから。」
出版社の編集者もさすがに書けなかったのだ。編集者によって見つめられてそこから小説家になったとは言えなかったのだ。




