不審と疑惑は晴れぬ
「絵里はどういう面構えをしているのかって思うことがあるんですよね。だって、特進クラスにいた歴が長いから一応特進クラスの同窓会が開かれるんですけど、そこに堂々と来るんですよ。場違いなほど高級なドレスで着飾ってね。」
そこでテレビのニュースで騒がれていることをぶちまけていることを繰り返していたというのだ。それを録音しているのだとも言った。
「木佐学という弁護士も絵里と結婚をしなかったから議員の負ける裁判に向かわせたとか言ってましたよ。絵里の片思いだったみたいですけど、高橋製薬の娘だから大丈夫とか思っていたんじゃないんですか。断った契約を解約するとか可笑しいじゃないですか。」
そのこともあって彼女は小関絵里とはかかわりをもっていたこともおぞましく思ってしまった。特進クラスに長くいたというなら特進クラスに上がる試験を受けるべきではなかったのかと思った。彼女自身思ったのは高校生の時によからぬことに関与しているとしか思えなかったのだ。警察も動かないことも不思議に思ったのだそうだ。
「そりゃ特進クラスにいた仲間としては殺人に関与しているとも思いたくないですよ。けど、此処まで深く考えるとそうしか考えられないですよ。特進に這い上がらなかった理由と急激に落ちた成績を思うと・・・。」
特進クラスから落ちて一般の生徒となった時には成績は少しは良かったのだろうが、ある時から急激に成績が落ちたことも考慮すると殺人を犯して十字架にさいなまれた時期なのではないかと。彼女は高校時代の成績を全て見せてくれることになった。コピーしてくれるということにもなった。
「人が殺されているのを黙っているのは私も嫌ですよね。そんな人と同級生でしたなんて思いたくないじゃないですか。」
「それは嫌ですよね。全て本人に対談時に聞くつもりというよりかは問い詰めるつもりです。木佐弁護士に会う予定にしてますから。」
「よかったです。校長だけではきっと絵里のことをよく言うのはわかり切ってましたから。」
三枝にとっては高橋という家計は何かを成し遂げるために死が絡んでも構わないと思っていたのだろう。明子は嫌がったとしても・・・。
「明子さんについては知ってますか?」
「えぇ、もともと高橋製薬の社長になるつもりもなかったようですし、人が亡くなっているのに家族が絡んでいることも疑っているようでした。・・・医者家庭から入った身であったこともあって。警察に訴えても動かないとか言ってましたよ。だから、出て行ったんじゃないんですかね。家を出て別の家で暮らすことで少しの安心があったんでしょう。」
彼女に家族の不安を訴えていたのだろう。家族を不審に思って離れたのだ。それくらいの意味があったのだというのだ。明子の存在を邪魔だと思っていたに違いない。それがたまたまある事件に絡んで死んだだけだと思った。




