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御伽噺  作者: 実嵐
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闇に埋もれしエゴと驕り

窪塚紘一が医局としている大学病院の院長はかなり政治家とのやり取りが激しい人らしい。木佐から聞くところによると、窪塚は通った大学とは別の大学の病院の医局に所属していることになる。

「窪塚紘一は消化器内科ということもあってか第一人者がいる大学病院に行くことに決めたらしい。まぁ、大学にいたときから手をまわしてもらっていたこともわかっているんです。」

「支援をしてもらっていたということですか?」

「そうですよ。確か・・・窪塚鉄工所とかいうのがつぶれた時期とかぶるんです。そのこともあって、窪塚自身が家族に内緒でその医者から金を借りていたとしたら此処まですると思うんです。窪塚紘一のことについて身辺調査とはいかないまでも似たことをしたら看護師が言っていたんです。」

仲がいいということもあるが、何処かえこひいきしているようにも感じてしまう。それを不思議に思う人も多いだろう。看護師たちにとってはいい噂の材料となっているようだ。窪塚は教授という肩書を得ようと必死になっていることもわかっているのだ。

「その人の娘さんとの結婚を言われているようです。だから、守ろうとしているんでしょうけど・・・。全く高橋製薬と窪塚という医者についてわかりませんよ。」

木佐にとっても大変なのだろう。医者という職は命と戦っているのであると自覚があるのならのらりくらりと答えないで真実を答えてほしいと木佐は言った。最後のほうは漏らすように言って数日後会えることを楽しみにしているとも。

 携帯を切ったことに残る謎を浮かび上がってしまうものがあるようである。窪塚紘一は裁判を抱えているので大した医者としてのものができていないこともあったからあの場所にいた。高橋製薬の鈴木卓もまた手を組むことは容易である。研究者が黙っていれば済む情報も埋もれているがあると思う。警察も知っているはずなのだ。それでもなお隠したい何があるのだ。窪塚紘一が弟である康に脅されていたのは借金の返済だけではないはず。教授という肩書を得たいのなら嫌な情報は削除したいはず。窪塚紘一も康を殺す動機がある。疑いを持つ人物にあふれてしまうのはいけないことなのだろうか。特段、無駄なようなことを考えていたらインターホンがうるさいほどに鳴り響く。三枝は急いで玄関まで行った。のぞき窓から見てみると黒スーツをぱっきと決めた女性が立っていた。誰かわかったのでドアを開けるとそっと玄関に入って来た。

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