つないだ点と点
警察も疑うところまで来ている。本人はいないにしろないがしろにするのはいけないと思うのだ。
「それよりお前、対談が打ち切りになったら話聞けないじゃないのか?」
草間が心配そうに言った。対談を打ち切りになってしまえば新たな人間を探すだけなのだが、それをしないと思った。週刊誌が買おうとしているのは元社員だ。それも知った上で対談を受けないとなると事情を知っている読者は余計に疑いを向ける。
「上条さんも読んでいるからわかりますよね。」
「あぁ、だってよ。先生の対談はって前書きがあるんだ。打ち合わせをしないと毎回丁寧に書いているからね。知っている読者もマスコミも疑惑の眼しかなくなってしまう。」
上条は自分の机の引き出しから雑誌を取り出した。目次を見ても経済を扱っていることもあるのでなんのこっちゃわかってはいない。三枝の対談のページになると打ち合わせなしの対談と書かれている。
「最初に企画が来た時にカンペがあるのは嫌なので、打ち合わせなしにしてほしいと頼んだんですよ。編集者の人も場所の手配とかあるんだから少しの負担だけでいいと思ったんですよね。未熟者でも考えるべきだって・・・。」
その同意を得られた人にしか対談を行っていない。最初は毛嫌いされたりすることもあったが、調べていることもあってか会社の宣伝になると使う社長も出てきている。その疑惑を膨らますような形にはしたくないはずだ。
「ネット上でやると決まった人の名前を明かしているからよく見ているんですよ。今回はコロコロ変わっているんで、小関絵里に対してに疑いがあるという週刊誌の記事が後々乗るとわかっているんでしょうし。」
小関絵里にとって会社を守るためにも自分を守るためにも大切にしないといけないことだと思った。それが打ち合わせなしの対談でもなんでも出て話すことに力を入れているのだとしたら・・・。
「小関絵里はきっとライフオブを捨てますよ。常務か専務かが声をかけて高橋製薬の社長になると思います。ライフオブは旦那に任せて・・・。」
「それはどういうことだ?」
「高橋という家には疑いを持たれるものにあふれてしまっている。それを守れるのは1人しかいなくなってしまった。ライフオブを使い捨てのようにしてでも高橋製薬を守らないと週刊誌や警察に解決されたら捕まるしかなくなりますしね。」
髙橋という家の警察を使ってまで消し去った事件を解けば見えてくるのだろうと思った。
「そういうことだから頼みます。」
「わかりました。真相をわかるようにしておきます。」
「無茶だよ。」




