重い過去と軽い現実
今じゃあホワイト企業であるか否かということに敏感になっているようであるからだ。三枝自身にも考えることがあるのだ。
「子供に大人は嘘をつくなって堂々と言う癖にその大人は自分の保身のために嘘をついているんですよね。子供の手本にするつもりもないでしょうけど・・・。」
「全くだよね。きれいごとと戯言を混ぜ合わせる政治家を見ていると誰のために考えているのかと見直すこともないんだ。真実を隠すことをよしとするのならいくらでも隠してしまえることになるんだよね。」
テレビに映る政治家の顔が偽善者としか思えない。被災した地域にかける言葉すらも間違えるのだから。自分たちの立場からの見下した言葉は一切同情を得ないことすらも気づかないのは愚かなのか。上条も思うこともあるのだろう。何故と問うことが増えるだけであって他人の眼を疑惑からそらすために時間を費やすのなら自分たちの金でやってしまえばいい。疑いというのは増えて嘘も大きくなって誰も相手にしなくなった時を待つのは卑怯でお粗末な人間で無責任を詰め重ねた人間にしかなしえないことなのかもしれない。
「まぁ、事件を解決することで暴かれる嘘や偽りもわかってくるのを待てばいいんですよね。どれだけ愚かな人間を懺悔することもなかったりするんでしょうから。」
「小関絵里が暴かれるんでしょうね。透明性のない会議に埋もれている内容かもしれないですから。」
草間も黙ってうなずいている。澄川書店も動いていることによってわかるものがある。スキャンダルを暴いているのもあることもある。橋倉もわかったら伝えてくれるだろう。橋倉も苦労が絶えない部分にあふれている。
「もしかしたら対談がなくなってしまった時は頼みますよ。」
「わかってますよ。高橋明子の事件が10年もたって動いていることはわかっていますし、情報もありますから。」
上条はテーブルの上に写真が置かれた。この写真というのは窪塚康が高橋洋一に売った写真であることが分かった。その写真には大きな家から逃げている子供2人が映し出されていた。そこは高校生に撮った写真に写っている子供だった。
「だから、草間は驚いていたんだな。」
「そうだよ。まさか映っているとも思わないしさ。目に迷いはなかったということだよ。高橋明子の家に行って聞き込みをしたら獣道は子供が通る道で高橋明子の家につながっていたのを確認済みだよ。」
「というか、俺の昔の資料を読みこんでいったんだろ。そりゃ子供は通っているよ。」
高校生ながら何処かで思ったこともあったから。




