恐れるべきこと
「刑事が中に入る企業というのはなかなかですね。」
「内部告発というのが高橋製薬とつながっていて疑わしいと思われているんですよね。そりゃ親がいる会社だからといってね、漏らすことも行かないじゃないですか?」
ライフオブという会社が一体どんな感じなのかも全くもってわかっていないらしい。株式会社ということもあって社員からは透明性を訴える人もいるが小関絵里は無視をしているのに一番怯えているのが、旦那であるというのだ。小関絵里は会社で働いたこともないので助言を言っているらしい姿をその刑事を見ているが聞いている様子はないというのだ。
「捜査二課の担当のこともあって流さないこともあるんだけど、未解決事件部にはあるんだよ。未解決事件を作り出したと感じている奴も多いから。」
上条と話していると鑑識から戻って来た草間がいた。ドアのそばに立っていた。鑑識に急いで調べてもらったのだという。捜査一課はめったに大した情報が上がってこないのでうんざりしているようでもある。草間にコーヒーを出すと小さな声で感謝を漏らした。
「鑑識の人に調べてもらったらホテルにあった空き缶と高橋明子の事件の時にあったコップが一致したんだよ。」
「草間、それより前にホテルの部屋に空き缶があったのか?」
「そうだよ。フロントに降りた様子もないから自動販売機で買ったとしか言えないだろうけどね。指紋も取れたから全ての事件に引っ掛けてもらうことになっている。かなり進んだじゃないのかな。」
すごい勢いで進歩しているように感じた。窪塚紘一のことは上条が行くといったのだ。病院に行くことで刑事が行くのと作家が行くのとでは違ってくるからだ。それに上条には医者になった高校生の同級生もいるので裏話でも聞けるのではないかとしている。再び、携帯が鳴りだした。
「すいません。」
「いいよ。仕事の話だろうから。」
上条にそう言われて隅に寄った。
「もしもし。」
「澄川書店の橋倉です。たびたびすみません。」
「それで小関絵里の件はどうなりましたか?」
橋倉はしゃべりづらそうにしているのか沈黙が漂ってしまっている。相手からいい返事が期待できないことの証明でもあるのだ。
「先生は事前の対談はしないと伝えたところ、こういわれたんですよ。小説家だからといって立場を利用しているんじゃないのかとか会社をつぶそうとしている可能性もあるとか誹謗中傷を言うので一方的に言うだけなら誰でもできますと伝えて、雑誌をキチンと読んでからじゃないと対応しないといいました。」
「それで構いません。不満ばかりな会社の社長はつぶれますよ。」
小関絵里は会社がつぶれることを恐れている。




