闇に開けし扉と
真実を不利益だと感じる連中は社会の中にはうじゃうじゃいる。三枝も会社にいたことがあるのでわかるのだ。社会に明かさないことを上が良しとすることで不利益を被ったとしても関係ないと考えてしまう。会社は内容だけで満足していたと・・・。三枝の携帯がけたたましく鳴り響いた。
「もしもし。」
「澄川書店の橋倉です。ライフオブの社長の小関絵里さんが対談の内容を話し合いをしたと申し出てきたんです。これまでなされてこなかったことですが、あらかじめ話し合うことについてどう思いますか?」
彼にとってはセリフを付けたような芝居を紙の上でしたところでしょうがないという考えがある。橋倉もその考えも知っているので当日に話すことで見えてくるようになってくる。会社としての生き方もわかるはずだ。
「なら、俺は薄いカンペを作ってくださいといいます。政治家の質問を送り付けるわけじゃないのにそこまで催促されるのは触れられてはいけないことがあると予測すると伝えてください。・・・あと、日にちは決まりましたか?」
「はい、2週間後です。場所はいつも通りでいいですよね。」
「構いません。編集者の方の手間を増やすことだけはしたくないので・・・。」
小さな声で告げると橋倉はわかっていると言いたげな声で返してきた。きっと橋倉は小関に伝えたのだ。話し合いをしたがらないことを言ったが、それでも要求するのはやましいことの印のようにしか思えない。橋倉の返事を聞いて切った。彼に漏れるのはため息だった。
「先生も大変ですね。」
「そんなことはないですよ。小説を書きだしたわけでもないですし、対談相手が決まってもわがままを言う社長を言ったりするものなんです。」
上条は対談の相手は誰かと問いかけてきた。小関絵里だと告げるとなるほどといった。小関絵里は父親譲りのものを持っているのだ。突然決めることはないにしても要件を決めていないといけないとしている。ライフオブという会社は警察も少しばかり疑いをかけているのだという。
「まぁ、内部告発があったということもあって中に入っている刑事もいるが、全くもって収穫なしということで決着ついたといっているけど・・・、真実は闇の中ってところかなっていう。」
つながっている政治家がいるという噂があったのだ。小関絵里にも父親にもつながっていた政治家がいたうえに大企業だと口をふさぐのだろうから。これでかすかな光に手を伸ばすのもいいことであるとなる。




