聴きたいこと
「確かに窪塚康にとって小関絵里が金づるになることでいいことはあるだろうが、小関絵里が金づるになってもメリットがないだろう。」
「大概の金づるっていうのがそうだろ。それに会社を経営をしているとなると昔の話とは言え、掘り戻されたくないに決まっているさ。」
康が絵里の存在に気づいていたかどうかが分からないのだ。それについてもわからないままなのかもしれないから。草間はそういうのを聞くとすぐにパソコンをいじっているカタカタという音が鳴らしている。彼が言うには小関絵里は逮捕歴が存在していて窃盗の罪を何回も繰り返して実刑を受けているのだという。それは高校生ぐらいの話だとも言えないのだ。
「この話に食いつく週刊誌の記者は多いだろうな。それが今のところないのを考えると権現が圧力をかけていたことを考えるしかないな。」
「そのことならざっと聞けるじゃないのか。スクリプトと澄川書店とかは聞けるだろうなってね。」
「頼めるか。警察じゃあ無理な部分があるから。」
彼の願いなら受けると思ってしまう。どうにかすると告げると事件の解決に進むことがうれしいのか少しだけ明るい声がのぞいた。警視庁も忙しいのががやがやとしている。会議に呼ばれたといって切ってしまった。三枝は散らかった服を拾い上げてそれなりの恰好に仕上げた。スクリプトならアポをいらないと前から言われているのだ。社長にも話が聴けるのでいいに越したことはない。彼はアパートを出た後に、すぐ近くにあるコンビニに寄った。ペットボトルのコーヒーを買った。そのあとに地下鉄に乗った。少し飲んだペットボトルを眺めた。目的の駅に着くとそそくさとスクリプトのほうへと足を進める。何時も思うのは大きなビルの一角を借りているのだというのだから驚きだ。エレベーターに乗っていく。スクリプトという名を見て思うのだ。救われたのか、救ってもらったのかと思うのだ。ドアを開けると歓声を上げている編集者の人がいた。初めて見る顔だった。
「三枝先生が来たぞ。荒木対応しろよ。」
大声で言う毎回の人なのだ。
「そう大げさにせんでええねん。先生はそう言うのは嫌いや言うてたの、忘れたんかいな。」
社長が最近、大阪から呼んだ人が研修を終えてやってきたのだと思った。三枝はそっといって荒木に会った。
「急にすいませんね。聞きたいことがあったんですよ。」
「なんですか?」
「小関絵里の高校生の時の話って聞いたことありませんか?」
「ありますよ。大きな出版社じゃ有名ですし、大きな会社になっているから余計にね。」
荒木は立ち話よりはと思って応接室へと導いた。




