つながりと円
草間から来た電話を切った後にすぐに自分の書庫へと駆け込んだ。自分の本は一冊は必ずあるのだ。出版社からの分け前のようなものだからだ。その中から取り出したのは2作目に書いたものだ。警察の何処か愚かさを取り上げたような作品だった。すぐに作風を変えたことからあらゆることを言われたりしたりした。警視庁にも顔出しを可能にしたのは草間だった。その時に草間は警視庁に応援という形でいた。それもあってか少しばかり話を盛ったものをされた。
「警察というのはいずれにしても悪人を逮捕しなければならない存在なのです。紙一重の状態であるという人もいますが・・・。」
その時の広報は偉く態度がでかかったのだ。当時、警視庁はストーカーの事件を追っていたらしいが、そうそうにやめてしまったのだ。世間からのバッシングもあったが、その時ばかりの場収めをしてしまったのだ。きれいごとというのは政治家も使うほどの取り繕ったものに過ぎない。薄い言葉に重い感情すら乗っていないカンペでしか言えないなど愚かだ。三枝はその時に思ったのは今の警視庁に存在しない刑事というものを描けれたらと思ったのだ。運命を託すのならと思ったのが、描いた通りになっていた。
「上条さんに会って真摯に向き合う姿を描くのもいいのかもしれないな。」
2作目の作品を本棚においた。3作目にはスクリプトの意向もあって1作目の続編だった。少年院に入った主人公によって描く人生の重さや命や起こした過ちを見てしまうことだったのだ。色眼鏡にかけられた人達の目線もあったか。苦労するのは一歩踏み出すに必要なことだといいたかっただけなのだ。
「過去を振り返られないとか格好つけるよりもやることがあるよな。」
彼は寝室に行き、パソコンを開いた。開いたのはライフオブという会社だった。小関絵里がどんな人物かと知るための行動なのだ。容易にすることでもない。ホームページを見ると食品とか化粧品も扱っているようだ。スクロールをしていくと妙な名前を見た。高橋製薬と書かれていたからだ。提携でもしているのだろうか。あれほど嫌っていた父親の会社と提携するとは思えない。確かに、兄の会社とはなっていたとは言え、裏では父親が操っているのを知っているはずだ。社長である絵里は嫌がるだろう。それでも押し切ったことにもわけがありそうでならない。ネットニュースでは高橋製薬とライフオブとの提携を疑いを持つ関係者もいたほどだが、記者はあまり掘り起こしていなかった。




