表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
御伽噺  作者: 実嵐
48/122

縁と経緯と

それを聞いていたおじさんが何処か疑い深くした目を昭に向けていた。聞いてある程度わかるのだろう。

「行かれた印刷会社ってもしかして、窪塚印刷ですか?」

「そう。此処らでいい機械を使っていれば名前も売れるし、出版社も目をつけると思うんですけどね。まぁ、業界のことを詳しく知らないといったほうが最もですよ。印刷会社なんて芸のないことだと甘い考えしているほうがつぶれますよ。」

昭のカメラの腕がいいだけではだめなのだと思ったのだ。窪塚印刷というのは父親が自殺した鉄工所の息子ということになり、康のこともつながってくるのだ。長男に至っては医者だとなってくると高橋製薬と深くかかわりを持つことの証明だ。

「印刷会社の名刺を持っているか?」

「あぁ、捨ててもいいとも思っていだがね、その様子だとほしそうだね。」

こだわった感じもなくシンプルな名刺だった。もう少し目立つようにしたほうがいいのではないかと思ってしまう。

「やっぱり清吾君だ。清吾君は確か、此処の噂で進学校に通っていた時に成績を落として行きたがっていた大学の受験に失敗していくのをやめてしまってその学校では珍しい行為だったみたいで・・・。」

その経緯で受けたのが高橋製薬だったらしい。たまたま受かったにしてもできすぎた経緯が薄く感じる。家庭事情もシングルマザーという立場になったことも少なくもあったという。だが、長男は医学部に入っているのにバイトをするそぶりもない。できないのかもしれないが、それなりの行動があったのだろうか。

「紘一君は家族を思いやるよりも自分の医学の道のほうに必死みたいで、そのつけがみんな母親や清吾君、康君にあったんだ。高校に行ってもバイトの許可をもらってまでしていた。かなり高額の借金を抱えていたから。けど、紘一君は全くしなかったうえに今、お金を蓄えていると思うんだけどその分を返そうとしないってお母さんが来た時に漏らしていたよ。」

そのことで頻繁に兄弟喧嘩をしていたという。それは引っ越してから余計に増えたのだ。紘一君が入った大学は父親のいたときならまだ余裕があったが、母親だけになると余裕がなくなった。それも私立大学の医学部だったこともあった。奨学金を借りていたわけでもない。親に払ってもらっていたのだ。弟は不満を抱えるのだ。

「兄弟は疎遠になって康君と清吾君だけは会っていたみたいだよ。・・・ただのお母さんの押し売りだけどね。」

父親が死んだことで奨学金を受けるようにすればいいのに紘一は拒んだのだ。借金に加えて、学費も大きくなってしまった。母親を身近で見ている弟たちにとっては許せないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ