表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
御伽噺  作者: 実嵐
36/122

疑問とつなぎ

商店街であったらしいこの場所周辺は家に囲まれている。その細道には喫茶店がある。高校生の時に見つめて入った。野鳥の会のメンバーの人とは別れたときだった。静かに考える場所を探したのかもしれない。ビルの喧騒にやられているのかもしれないと自嘲するしかなかった。

「もしかして・・・弘樹君か?」

声がするほうへと振り向くとTシャツにエプロン姿の中年の男性が立っていた。その姿には見おぼえたがあった。

「おじさん、そうだよ。」

そう三枝が言うと男性が笑顔になった。彼から店に入って話すのはどうかと提案されたので甘えることにした。ゆく当てを求めてきたわけじゃない。情報が命取りになることをしているのだ。中に入ると来た時と全く同じだった。

「この店が長く続いたのは弘樹君のおかげだよ。小説で登場していることもあってね。客が尽きないんだ。今は来ていないけどね。休日となったら違うんだ。」

そういって彼は手際よくコーヒーを作っている。彼は脱サラをして喫茶店を開いたのだ。サラリーマンをしていたころに会社のごたごたに巻き込まれてしまって嫌気がさしてしまったらしい。それにそこの会社は輸入を主にしていたこともあって今もつながりが残っていて安く売ってもらっているらしい。その人達にとってはいい客として思ってくれているので顔を出してくれるのだといった。

「それでおじさんに聞きたいことがあるんだけど・・・。」

「なんだ。話せることなら貢献できるってわかっているから話すよ。」

コーヒーをカウンターに置いた。三枝はカウンターの椅子に座った。増築でもしたのかと思わせるほど高校生の時に来た時よりも席が増えていた。

「鈴木卓と詩織っていう子を知らない?」

「あぁ、知ってるよ。養護施設に行った子たちだろ。養護施設に行くとなった時期よりも俺は気になっているのは児童相談所に助けを求めた時期が気になるんだよ。」

「助けを求めた時期?」

その時期というのは高橋明子の事件が起きた2~3か月後のことだったという。小学校の教師がいくら言っても動かなかった児童相談所に自らが行ったとすれば困ったことになるので、事件に隠れて公になっていないのだといった。ただ地元じゃあ噂で広がるのもしょうがないことだった。

「だから、この辺の人は弘樹君が書いた小説を信じたんだよ。子供が面白半分でやったんじゃないかって。児童相談所がその子たちの家に行ったというならまだしも自分たちで行った分ね。」

疑問が生まれるのだといった。ただ誰も彼らが高橋明子の家に行ったところを見たことはないと思っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ