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御伽噺  作者: 実嵐
30/122

見ていた人

それでも弁護士を金で黙らせたことを兄は秘書から聞いたのだ。そのことに全てをかけていくことを決めたといっていた。ネットの記事を見ると思うのは明子が死んで喜んだのはごく身近にいたということだ。三枝自身何処かうんざりとしてしまった。

「会わないといけない人のハードルが大きいな。」

パソコンをシャットダウンをしてリビングへと戻った。テレビをつけるとニュースをしていた。高橋洋一についてだった。事件が起きて数日たっているが全くもって捜査が順調になっていないことが分かった。解説者や会社の内部を知っている人物が話すのは会長の存在だった。会長が主導権を握った姿を見ている。社長は穏やかだとみなそろって言っている。

「洋一さんはこれといって強制することはなかったです。株主総会も一番時間をかけていました。株主の皆さんの意見を聞きたいといってできるだけ回答を求めたりとかもなさっていました。彼は明子さんの時と同様に社長としていてほしかったです。」

内部を知っている人はそろっている。次の跡継ぎはどうなるのかと上がっている。専務や常務だといわれている。その専務も常務も全くといっていいほど人望がないのだという。会社の外にいたとしても病院関係者といえる。

「専務と常務が統合させたがったんです。会長の移行に沿っているのが2人です。病院の選定も曖昧で困っていることもわかっていないんです。社員は勢いだけの統合は意味をなさないと思っているのですが、全く効かないのを気にして社長が声をかけていたのが印象に残っています。」

髙橋洋一は病院との統合にも慎重だったのだ。一度失敗しているのを知っている家族は言ったのだろう。子供だったとしてもできるだけと思ってしまったのだ。

「洋一さんが亡くなった今、会長は喜んでいると思いますよ。自分の思い通りにできる時が来たと思っているようですから。そう考えると専務か常務にすると考えられます。株主総会も洋一さんの時よりも透明性がなくなってしまうのをとても心配です。警察の方が速く解決するのを望みます。」

ニュース番組に座っている内部を知る人物は切実な思いで叫んだ。このことによって会社の動向をずっと見られる可能性がある。高橋製薬に少しでも隙があってしまうと週刊誌も目をつけるようになると三枝は思った。裏の社会とかかわってしまうとばれてしまうのだ。会長の存在の大きさが明らかになって口を出したことが分かれば・・・。

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