企業の栄光
「それは妥当だとは俺は思わなかったけどな。やめたのは悪しからずっていうものだよ。・・・まぁ、此処はスペイン料理がうまいんだよ。」
草間は空気を換えるために店の話題に変えた。彼の話を聞くと此処のマスターはもともと和食をメインにやっていたらしいのだが、海外旅行を周りに提案されてついて行ったらスペインだったらしい。そこでの料理が忘れがたくなり和食をやめてスペイン料理を一から習ったのだ。そして、居酒屋のようにして誰でも来れるようにしたのだ。
「敷居の高い店にはしたくなかったんだって。そりゃ材料が高いといいというのは和食の時にわかり切っているって。なら、低価格で戦うのも筋だってね。和食を教わっていた師匠からやめるといった時に怒られたらしい。中途半端な時だったから和食を覚えてからのほうがいいとね。」
マスターの意思の堅さに驚き師匠は最後には何も言わなかったらしい。マスターの話を聞いた後にマスターにサングリアを頼んだ。パエリアの頼んだのだ。手をかけるために時間がかかるのを知っている草間だからのタイミングなのかもしれない。サングリアが届いたときに三枝が少し飲んでいった。
「それで情報っていうのは何だ?話が入って来たんじゃないのか。」
「正解だよ。緊急の捜査会議だって言ってみたいけど、高橋洋一はワンマン社長じゃなかったみたいなんだよ。会長がいまだに健在という形だった。」
「高橋権現ね。・・・総合メディカルカンパニーを言い出したのはたぶん、妻の明子だ。明子が会社をすぐに辞めたのは統合する病院を選ぶためだったかもな。」
「明子は医者の家庭で育ったこともあって、やたら病院に関して厳しかったらしい。それに怒ったのが権現だよ。明子が社長を辞めた後についたのが権現だ。妻の恩恵を受けているのをわかっているのすらわからなかったと長くいる社員は言っていたらしい。明子はもっぱら経営よりも金よりもより良い環境を与えることに種を置いていたからな。」
草間が言ったのは明子の父親だった。父親は大学病院で働いていたのだ。だが、医療ミスを押し付けられていなくなったのだ。そのこともあって、医療ミスを隠している病院とは提携したくないといっていたという。名誉のために人が亡くなったことを隠す病院は信用ならないと。患者は少なからず医者の駒じゃないしとも常々言っていたというのだ。製薬会社の社員となっても精神は変わらなかった。
「そのこともあって明子にはやめてほしくなかったらしい。社員の言うことなんて通らなかったんだよ。旦那だったこともあってね。」
草間は寂しい笑みを見せた。




