過去か栄光か
それから時間が過ぎて言ってしまった。小関がかえって来るのにも対談があると思って着飾っているのだろう。衣装と言えど妥協をしないのだ。他のスタッフにも情報が流れていてしまっているので誰もが帰りたがっている。スタジオから車の音が聞こえた。すると、すぐに上条と草間が出てきた。小関が入って来た時の冷め切った空気が痛いほどわかった。
「小関絵里さんですか?」
「そうよ。何か用なの?」
「警視庁捜査一課のものです。貴方に逮捕状が出ています。同行していただけますか?」
小関はあざけるような顔をした。テレビドラマであるような展開を思ったのだろうか。彼女は言った。どうせ任意でしょ。
「任意ではありません。逮捕状がキチンと降りていますからね。わかってますか。高坂は全て吐きましたよ。貴方に脅されていたことも人を殺した罪悪感とも戦っていたようです。背負っていなかったのは貴方くらいでしたか。」
「何時からいたのよ。」
「対談があると聞いてきているので、最初からですよ。まぁ・・・。お父さんを恨むべきだと思います。」
上条はそう言って時刻を言って手錠をかけた。小関はそれきり何も言わなかった。暴れたら印象が悪いと思ったのだろうか。三枝は草間に目配せをした。それを見た小関は誰からつながっていたのか分かったようだ。
「あんただったのね。私を売ったのは・・・。」
「売るわけないじゃないですか。俺は出版社の依頼を受けて警察とともに高橋明子さんの事件を調べていただけです。それにたまたま浮かび上がったんです。俺にとっては事件が解決するほうがいいんです。」
彼が言うと彼女はうつむいてしまった。外に出ると警察関係者がずらっといた。大物を捕まえたと思われるため、大勢になっているのだろう。1つ言えることは金におぼれた人がつないでいることもあるのだろうか。
「小関さん、安心してください。旦那さんも時期に二課によって逮捕されますから。」
「よくはないわよ。会社があるんだから・・・。」
「もともと高橋製薬の社長になりたかったから権現の言うことを聞いたんじゃないですか。人殺しもいとわないくらいに。」
それを最後にパトカーに乗っけられていなくなってしまった。澄川書店はライフオブに損害賠償を請求するだろう。橋倉も外に出てきて少しほっとした表情を見せた。
「よかったです。過去に起こした犯罪を隠すことにならずに。先生も関わってくれてよかったです。」
「橋倉さんには負担をかけます。」
橋倉にそう言って三枝はスタジオに来るのに使った車に再び乗った。




