縛り上げた罠
上条はソファに座ったまま、ボイスレコーダーを聞いている。半分くらい聞いたところで彼は笑顔を見せて言った。
「これは警察でも得るとは思えない代物だ。三枝さんには此処で足止めを食らっているのはもったいないから小関が来た後に逮捕状を見せると思います。・・・事件を解決させますから。」
「わかりました。橋倉さんのところに行っています。」
三枝は控え室から出た後に廊下に出た。橋倉は他のスタッフをなだめているようにもあたふたしているようにも映った。三枝に気づいたスタッフが声をかけてきた。
「驚きましたよ。此処に警察の人がいるなんて思いもしなかったです。・・・あの刑事の人が高坂とかいう人に声をかけたんですよ。警察手帳を見せてね。そしたら罪悪感なのか何かはわからないですけどしゃべったんですよ。不良グループにいたころに人を殺したって。」
スタッフが言うにはそのあとに来た警察官に連れられて行ってしまったという。顔をかすかに見ることができて、警察だとわかる前の高圧的な態度はなくなってしまって顔を下に向けて歩いていたのだという。
「その刑事に全て話したのは会社が持たないことが分かったのと、三枝弘樹という人が過去の事件を警察とともに調べていることが分かった時だといってましたよ。控え室にくぎを刺すように言われていったけど聞いてくれるとはもともと思っていなかったそうです。」
そういってスタッフは仕事という名のコーヒータイムを楽しんでいた。そのスタッフは気づいたのか、橋倉に声をかけてくれた。橋倉はスタッフと話し込んでいるようだったが切り上げてくれたようだ。
「廊下で待っていただくてよかったんですけど・・・。」
「いえ、上条という刑事の人が小関絵里が戻ってきたら逮捕状を見せるといっていたので・・・。俺は高橋製薬へ行って真犯人に会いたいと思います。」
「わかりました。・・・請求はライフオブに負担になると思っていますし、賠償金も上がると思います。その時に渡しますので・・・。」
橋倉はそういうと他のスタッフと話し込んでいった。ライフオブの秘書が捕まったのだ。澄川書店の週刊誌の部門は大騒ぎをしているはずだ。なかなか戻ってこない小関を待つのだろうかと思った。きれいになったのはきっと服だけであって心は全くもって変わっていなかったのだ。秘書を過去で脅していたことに関してだ。負担を増やして自由に動けるようにでもしていたのだろうかとも思ってしまう。




