クーデターは・・・
スタイリストが必ずついているとも限らないのだ。三枝はそんなことは知っているのだから当たり前という感覚を持っている部分があるのだ。彼はインスタントコーヒーを飲み干してしまうことを恐れてコンビニに行くべきか悩んだ。
「橋倉さん、コーヒーだけじゃなくて他の飲み物買ってきますよ。」
「お願いします。離れることができない人も多いうえに好きなものとかを持ち込めないと思っている人もいたみたいですから。」
「コンビニに行くだけですよ。そこまでとは思いませんが・・・。」
橋倉からいる人のリストをもらった。小関とかは外してもいいとしてリストにはすでに小関などはないことも考慮できるのだ。レンタルスタジオには特にないこともわかっているのだ。三枝はコンビニに行くために少しだけコーヒーを飲んだ。
「それじゃあ会計担当のものを呼んできます。」
橋倉は部屋を出て廊下にいった。会計担当が出ている場合には別に誰でもいいようになっているのも知っている。もしかしたら、会計担当は小関に張り付いているようにしか見えない。決まった金額を選ぶとも思わないので高い衣装を借りることになることもあり得るからだ。その時には値段の交渉をするだけだろうが・・・。橋倉が戻ってくるとやはり会計担当の人はいなかった。
「小関について行ったとか言ってました。まぁ、小関のほうにずっと張り付いていたようでして・・・。ギャラの交渉すらしていなかったようでその交渉もかねてついているようです。社長とかにはそれなりの価格を提示して納得した上で来てもらうことが多いのに・・・。」
「そうですか。じゃあ俺がついていきます。」
草間はそう言って三枝と一緒に行くことになった。レンタルスタジオを抜けると草間は歩道であくびをした。
「此処まで疲れることはないよ。事件とかで張り付くことはあっても経験である程度のゆとりの撮り方は知っているからな。」
「まぁ、今回は特別といったところかな。あんなに知らなかったという人はいないよ。メールとか訪問を基礎としていることもあるからな。しいて言うなら高坂が黙っていた可能性が高いな。高坂がかなりかかわっているようだったから。」
高坂が阻んだ情報の多さに驚いてしまった。きっと上条は高坂と話をするのだろうと思っている。草間は疲れてしまったのだろうか。
「こりゃ苦労するわな。小関が知らなかったでは済まされないことが分かったはずだからな。・・・高坂がクーデターを起こそうとしているとかさ。」
歩道を歩きながら三枝が漏らした。草間はうんうんとうなずいている。




