進めないゲーム
「クーデターが発覚するなんてなかなかないですよ。その中に少しでも内通者がいたと考えるほうが正しいじゃないですか。証拠もあったら余計にね。」
「話を聞けばいたんじゃないんですかね。まぁ、高坂が混ざることはあり得ても絶対に裏切ることはないでしょう。」
上条の電話が再びなった。上条はそのまま取って話している。高坂のことが詳しく聞いているのだろうと思われる。橋倉は仕事がない状態で全くといっていいほど何もできないことが分かっている。草間はインスタントコーヒーを作って飲んでいた。同じ入れ物を再び使っているようであった。
「草間、入れ物は使い捨てでいいんだよ。此処じゃあ誰の飲みさしとか断定できない分ね。だから大概の人は使い終わった捨てるんだよ。数も多く用意してあるから。」
「そうなのか。警視庁じゃあマグカップとかおいていたりとかあるからそんな感じかと思った。此処はかかわる人が多くてどうなるかわからないのか。」
草間は感心するように言って作ったコーヒーを飲んだ。きっと次は捨てるのだろうと思った。橋倉はドアを開けて覗いているようだった。周りに人が少ないのだろうか。
「こりゃ時間がかかっているようです。まぁ、ライフオブに声をかけられた経歴があるといっても最後は出版社に決めていますからね。あんな人は嫌なんですよ。自分がいいと思った人が来なかったとか・・・。先生の対談をする度に思うんです。吸収したいと思う経営者の方と会社の宣伝と思っている経営者の方では態度が違うんです。けど先生は同じ対応をするのであっけなく思われるじゃないんですかね。」
その上に積み重なってくるのは三枝の調べたことだった。かなり深いところまで調べているので経歴詐称もばれた人もいた。最初はたたかれていたが、今は腕がいいとのことと人の好さも認められていて今も経営者として続けている。三枝はその姿を見て何を思うかとなってしまう。
「会社の宣伝だけと思うのが間違いですよ。一応は経済雑誌に載ることを考えたら未来の展望も必要ですけど、経営者の生い立ちを知ることが大切だと思ったんですよ。よくも悪くも傾く可能性は見えますから。伊達じゃないのならそれなりの言葉をくれないと困るんです。」
三枝は空っぽになったプラスチックでできたコップをゴミ箱に捨てた。メイクをするにも対談が正式に決まらないと進められない。メイクの人も待ちぼうけを食らっているため、親しい人と話し込んでいるようだ。




