捨てられた声
高坂に対しての疑いの眼が新たに表れてしまった。小関にとってこのことはいいとはならないだろう。
「あの秘書、俺たちのことスタッフとしか思ってなかったじゃないのか。態度から見てグダグダしゃべっているようにしか見えないのだろう。」
「そのほうがいいんですよ。警察だと思わせるのも嫌気がさすし、警戒心むき出しにしたところで出ているものがあるんですから。」
高坂について気になるのか、上条は電話をもってかけた。未解決事件部というのにはまだ人はいるらしく頼んでいるようでもあった。橋倉は小関に張り付いているのは普段なら少しは顔を出すのに出さないところを見ると苦労をしているようでもある。小道具の用意もキチンとなされているのだろう。もっぱら用意するのは椅子くらいなことだ。あとは照明だとかカメラとかなるのでその準備もある。対談というのは見た目とは違って用意が多いのだ。写真も撮るとなると必ずだ。
「上条さんも小関絵里とかにはかなり手を焼いているみたいだよ。物証はあるのに上は受け付けなかった時期があったからな。父親の裏に議員がいたらしいけど、娘だけとなると動かないだろうな。全くもって全てを失ったことに対することもない。」
身内の葬式はいまだに行われていないのだ。父親と兄の葬式が忙しいうえに会社のことも合わさって余計にできなくなってしまった。公にすることを選びたいので家族葬だけにはしないのだろう。迎えられるときを待っているのかもしれない。
「草間、その議員はな、木佐が契約で弁護士として動いていた時に捨て駒として使われているんだよ。父親もそれにとって代わる議員なんていなかったのは明白だ。もともと仲良かった議員は一匹オオカミとして有名だったんだ。自分の都合が悪いとすぐに政党を乗り換えることで話題になっていた。事件が起きたら即見捨てたような気がする。」
彼の言葉を聞いて思ったのだ。その議員が父親との仲があったために行っていたのだろうかと。過去に大臣を務めていたような人物だったこともあって気にすることもあるのだろうか。
「裏金をもらっていたことは考えられないですかね。」
「あるだろうな。薬もかなり海外製と輸入していることもあったし、その時に手を貸して金を回していたことも考えられるよ。なんせ父親が自分の都合と隣合わせの人だったからな。」
金をもらったこともあって融通を利くように仕向けていたのだろうが、大臣だった時より覇気がなくなった上に事件で捕まるとなって見捨てたのだ。




