浮き上がりし嘘と真実
2人とともに話しているとドアをノックされた。少しだけ粗さを感じるような音が響いた。三枝が声を出すと銀縁眼鏡をかけた威圧的な感じのする黒スーツを着た女性が現れた。
「初めまして、株式会社ライフオブの社長秘書をしております。高坂といいます。」
高坂は名刺を渡してきたので受け取った。三枝もスクリプトと澄川書店の名が入った名刺を渡した。そうすると面倒くさそうに受け取っているように見えた。ソファには2人がいるので座ることができないのが何処か気に食わないのだろう。2人をにらむようにしている。
「橋倉さんに問い合わせたところ、三枝さんにお話しをつけるように言われたんです。ですから・・・。」
「話をつけるとは何のことですか?」
「それは今、テレビでやっているような事実はないので、聞かないでほしいんです。社長も公の場で話す機会もないので自分から話をさせてほしいとのことです。」
高坂はスタッフと話しているところにとんでもないお願いをしているとでも思っているのか。またはスタッフがいるから従ってくれるとたやすく思っているのだろうか。三枝の返す言葉は決まっている。
「それはわかりません。その時になってみないとわからないものですから。・・・それに打ち合わせをしないということのだいご味がないじゃありませんか。会社がクリーンだといいたいのならこんな要望はしてこないはずです。多くの社長さんとかと話してきましたが、こんなくだらない要望は初めてです。」
三枝はそう言って侮辱じみた言い方をすると彼女は不服そうにしてかえっていった。きっと他の社長とかにも同じようなことをしていたのだろう。
「ありゃいい会社とは言えないな。それに何処か胡散臭い人だったな。」
「だろうな。テレビで言われてることが事実じゃないから聞くなは違うじゃないのか。それならカンペくらいは用意するだろ。」
「そうとも限らないんだよ。草間。会社をきれいに見せるのに力を入れすぎる会社はなくなってしまうものなんだよ。」
上条の言葉に何も言えないようだった。上条もまた高坂という名を聞いたことがあるらしく、名刺と戦っているようになった。過去の事件の資料を読みこんでいることもあると思った。
「高坂っていう名前は確か・・・窪塚康の事件にかかわっていた気がするな。張り込み役だったかなんかで小関絵里に恩義があるんじゃないのか。社長秘書とかになっている時点でな。」
「上条さんの言う通りです。窪塚康の事件の時に外で不自然な動きをした女性を見たとかありましたよ。ナイフを買っていたのも彼女です。」




