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御伽噺  作者: 実嵐
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印象

融資担当だった彼は勇作が言うことに従わずに規定通りのことをした。外資系金融の名が恥じることになってしまったら困ってしまうからだ。そのこともあってか彼は出世コースに進んでいるのだろうか、テレビに映るきれいなスーツが目についた。その話が別の人へと移ってしまった。

「その人はギャンブルか何かで家族にいえない借金があったみたいなんです。それで金を出すからといわれて売り上げとかを書き換えたみたいですよ。まぁ、元のデータを書き換えたのでそれをホームページに出さないとばれないことも何となくわかっていたのか、数年は出してませんでした。」

それにかかわった人は上司に気づかれることなくやり終えたのだ。話している彼によると最後は出向してさびて仕方ない中小企業の経理になったというがギャンブルが影響したのだろう。その中小企業もうではあってもうまい営業もいないこともあってつぶれてしまったらしい。

「小関さんは上にしても下にしてもいい影響を与える人ではありませんでした。・・・詐欺まがいなことをしてもいいんだって言ってましたし、そうやって融資をする人だっていますから。やくざ者と同じにはなりたくないというのが心情ですよ。」

銀行というのはそんなところだといってしまうのは嫌なのだろうか、苦々しい顔を覗かすしかなかったようだ。テレビで関係者に当たっている様子を見ると会社からある程度いいといわれたのだろうと思ったのだ。以前の会社の状況を示すことにもなるとでも思ったのだろう。小関勇作はいったい何処で道を間違えたのだろうか。

「彼女ができたとか言って会社中に言いふらしてましたよ。高橋製薬の娘だって。彼女は言っていたことがあったと聞いたんですけど・・・。都合が悪いときには金で買収すれば丸く収まるとか・・・。」

三枝は気づいてしまった。小関が変わったのは高橋絵里という存在だったのだ。金で巻き上げられる大人を見てきた絵里にとっては金という武器を教わったのだ。だが、一度だけ負けている。そのことすらも忘れてしまったのだろう。外資系の金融サラリーマンとして勤めていた人が変わってしまうまでにだ。お嬢様ということだけでは済まされないことを高校生の時にやってのけただけなのだ。

「高橋製薬というのもいわくつきの会社だと知ってましたよ。取引先としても厄介だとか聞きますからね。」

そういって特集は終わっていた。高橋製薬の印象を悪くしたかったようでもあったのだ。

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