第1TUEEE お前もか!?
俺は勇者。
名はレオス・ダルク。
レベルは458。99でカンストのはずなんだが。
鎧は邪魔だから着てねぇ。
チートスキル「浄滅の刃Lv.99」を生まれながらにして持つ最強の転生者。
今俺は最後の決戦の地、魔王城ヴァルフレイム・ロアの地獄門の前にいる。
え?
道中の活躍が見たいって?
そんなもん、馬車に乗りながらチートスキルぶっ放して来ただけだが。
「浄滅の刃Lv.99」は発動しただけで半径5キロに存在する、このスキルのレベル以下の魔物を消滅させる。
まあ、全滅。
ん?仲間?いるよ?
紹介しようか。
まず女魔導師のナターシャ。巨乳。幼馴染。
街を出るときついてきた。
次に女格闘家のリィヤン。巨乳。かわいい。
彼女の街を丸ごと救ったらついてきた。
そして女僧侶のエル。あえて言うまい。かわいいけど。
魔王の軍勢を片手で追い払ったら神と勘違いされた。
彼女らも馬車に乗ってるだけだったからレベルは軒並み一桁。
ま、俺の数あるチートスキルの1つ「慈愛の盾」があれば親密度が友達以上の人間へのダメージを肩代わりできるし、俺は俺で「魔導鎧装」でダメージ吸収できるから問題ねーな。
さ、いこーか。
どうせ魔王も秒で終わるし、次は国でも作ろうかな。
俺だけのハーレム天国。
楽しみだ。
―――――――――――――――――――――
僕は魔王。
幽魔のディエールだ。
レベルは590。ここまでくるとレベルとか無意味だと思う。
夜を具現化したようなマントを纏い、髑髏と鎧騎士を象った黒い仮面。
いかにもでしょ。
この魔王城ヴァルフレイム・ロアの城主にして世界の半分を統べる悪魔。
生まれつきチートスキル「逃げ場のない迷宮」で1048576通りの行動をシュミレートできる。
つまり、どうすれば勝てるか、どうすれば負けるかが瞬時にわかるってことさ。
おかげで負け無し。
耐性のない相手なら出会った瞬間殺すこともできる。
でも僕だって無用な殺生はしたくないし、今は嫁だっているんだ。
この魔王城でスローライフ…とは行かないまでも静かな時間が欲しい。
それなのに勇者が…え?嫁?
ああ、彼女はラナナ。
人狼族の長の娘なんだけど、一目惚れしちゃってね。
何処の馬の骨ともわからんやつに娘はやらんと言われたから、魔王の馬の骨になったんだよね。
彼女の笑った顔は本当に可愛いんだ。
普段は魔王軍の指揮官をしてるから厳しい顔ばっかりなんだけどね。
そんな、ハーレムなんて望んでないよ!
僕はただ、ラナナと一緒に……
っと、話はここまでだ。
彼らがきた。
いや3人は戦えないか。実質彼一人。
さあ、始めよう。
最後の戦いを。
―――――――――――――――――――
「よお、魔王ディエール」
「はじめまして、だね、勇者レオス」
たった一言の会話。
魔王の「逃げ場のない迷宮」が発動し、勇者の「明鏡止水」がその効果を跳ね返す。
魔王は動揺し、反応が少し遅れるが、「27時間」で時間を拡張、さらに「暴君」で跳ね返ったスキルを無効化、そして「明鏡止水」をコピーする。(似たようなスキルは持っているが。)
勇者はその様子を「絶対監視」で分析、魔王が時空間系スキルを所有していることを把握し、「現在地」で魔王の座標を魔王城内に固定しようと試みる。
が、当然魔王はこれを感知し、「摂理」で人が定めた数値情報を狂わせ、「現在地」の発動を強制キャンセルさせる。
さらに畳み掛けるように「左手に白旗を」で両者のスキルの発動を3秒間禁止し、「27時間」でその時間を2分間に拡張した。
これは1秒に満たないスキルの応酬である。
そして両者は気付いた。
『お前もか!?』