第5話 錬金術師は侵入がお好き
主人公は他の人から見たら只の怪しい人ですね。
キール王国の王城の一室で儂、キール王国先代王レイジン・キールが右往左往している。
「ーーあっあ‼︎こんな時あの方が居てくれたら」
そんな儂を愛する妻である、ナーラ・キールが宥めてくる。
「貴方が慌てて居ても、あの娘は治りませんよ」
王城は今、王妃の病気で大騒ぎで、王妃とは儂の愛娘の事だ。愛娘の病気が分かり治してもまたかかった時には、あの方……旅の錬金術師のあの方の来訪を切に願った。
今は儂を咎める位には元気な妻だが、一回は不治の病にかかったのだ。もう治る事は無いと診断されて、絶望の淵に立って居たが、何処からともなく現れた、あの方は無償で妻の病に効く薬を調合してくれたのだ。
儂はあの方に 褒美を渡そうとしたが、あの方は「褒美の為に治した訳じゃ無いと言って」受け取ってくれなかった。
当時の王妃を救った者だ、普通ならこの国の者は全員知っとるだろうが、あの方は騒がれるのを嫌い。儂に自分のローブの秘密を喋り、儂と妻にだけ自分の素顔を見せて、去っていったのだった。
「あの薬はあの方の物に違いない」
「ですね、ナターシャもあの方の呼び名を知っていましたし」
そう、先日帰ってきた孫のナターシャがあの方の薬を持ってきてくれたのじゃ、しかもあの方が来てくれると言う。
「でもこのままじゃ愛娘が、死んでしまう……」
儂は肩を落として、地面を向く、すると妻が儂の肩に手を置いてくる。
「あの方の事ですから、間に合いますよ」
「そうじゃ!あの方なら間に合う筈じゃ」
儂は天井を向き目をギラつかせる。
「ーーてっ言うか、もう来てるんですけどね」
儂はぎこちなく声のした方向を見ると件の方が窓に座って居た。
「やあっ、久し振りだな。レイジン、ナーラ」
「はい、久し振りですレンセイさん」
儂は件の人を見つめて目を見開く。
「ーーギョッ」
「ギョッ?」
「ーーギョエ〜〜‼︎」
*********
「ーーうおっ」
私はレイジンの余りにも大きい声に驚く。ナーラの方はさして驚いた様子は無く、落ち着いた様子から日常的なものなのだろう。
「いきなり現れないでください」
レイジンの心底驚いたと言いたげな、言葉に私は謝る。
「済まない、済まない。だが城の門番にも怪しい奴扱いで入れなかったから、侵入して来たんだ」
「それでもですが……」
納得していないレイジンの言葉を遮る様にナーラは本題を言った。
「そんなことよりもあの娘を、治してくれますよね」
「ーーあっああ、状態は大体把握して居る、私の予想が正しければ治せるだろう」
私の言葉を聞き、レイジンとナーラは先程までの焦った顔をほっとさせて、王妃の部屋へと案内してくれた、行く道中で私を見て何か言いたそうな騎士や貴族達が居たが、先代の王と王妃が居ては口出しができない様だな。
*********
患者の部屋には患者以外にも複数の人が居た。その中には私がゴブリンから助けた、ナターシャやザックも立って居た。
「お義父様、その怪しい者は何者ですか」
高貴な服を纏った30歳くらいのおじさんは私の事を怪しい者と言っている、恐らくかれが王だろう。
「大丈夫だ、安心しなさい君達は覚えてないかも知れないが彼は儂らの恩人だ」
レイジンは私の事をフォローして来れてるが、部屋の殆どの者は怪しい奴を見る目だった。
まあ、私は関係無く患者に近づくすると、王子らしき人物が剣を抜いてきた。
「母上に近づくな、近づけば斬る」
「近づかねば、直せないだろ」
私が王子の言葉を鼻で笑い、近づいて行くと、王子は私の左肘を斬りつける。
すると、簡単に斬れて私の左腕は地面に落ちてしまう。
それを見た私は頭を掻いて、腕を拾った。
「ーーおろろ、君。護りたいのは分かるが私を殺すと、王妃は助けれないよ」
「ーーヒィッ‼︎バケモノ」
左腕を落とされ、痛がりもしない私を見て、殆どの人は目を見開く。
その隙に私は左腕を断面に着けてスキルを使う。
「接続式・腕」
スキルで腕を着けて調子を見る。うんっ、ちゃんと動くな。未だに驚いてる人々を放置して患者に近づく。
「ーーうっ、貴方は……」
王妃は苦しそうに声を出す。
「安心しろ、貴方を治しに来た者だよ」
私は安心する様に王妃に言うと、王妃は強く咳き込む。
「ーーゴホッゴホッゴホッ‼︎治してもどうせまた……」
「大丈夫だから、寝てな」
私が王妃にそう言うと王妃はまた眠った。
その隙に王妃のメディカルチェックをしようと思う。
私が使う道具はこれだ、私はメガネを出す。
これは診断鏡と言う道具で名前がそのままなのは気にするな。
私はメガネを掛けて王妃を見た、すると。
「……やはりな」
「どうだ」
レイジンが聞いてきたので率直に答える。
「これは呪いだな」
その言葉にレイジンは慌てて言った。
「城の魔術士に見せたら呪いでは無いと……」
私はレイジンの言葉を手で制すると、説明した。
「この呪いは今じゃ使われていない呪いで、掛ける相手の魔力を使って、発動し続ける呪いだ」
私の言葉を聞いて外野は騒ぐ、私の言葉は信じれないとか言ってくる者もいる様だ。
「ふっ、外野は黙ってな、説明の邪魔だ。この呪いの最大の特徴はその隠蔽性の高さだ」
「なら廃れない筈だろ」
外野がまた騒ぐが、私はそこを冷めた目で見つめる。
「はぁー、馬鹿なんだから、説明は最後まで聞け。この呪いの廃れた理由は、最大の欠点ひよるものだ、なんだと思う、ナターシャ?」
ナターシャは私のいきなりの質問に驚くが、頭を悩ませる、すると思い付いたのか答えた。
「レンセイさんは最初に掛ける、相手の魔力と言いました。もしかしたら魔力がある職業じゃ無いと意味無いのでは?」
私はナターシャの答えに口をニヤつかせる。私は口を三日月にして答えた。
「正解だ、ナターシャ」
「はいっ、ありがとうございます」
レイジンはその答えを聞いた途端に慌てて指示を出す。
「解呪の準備じゃ!」
私はレイジンの頭を軽く叩く、するとタンコブをつけて地面に倒れた。
「慌てるな、この呪いには解呪の準備は無い」
「なら‼︎どうすれば」
タンコブをつけながらも直ぐに復活して意見する。
「これを使えば良い」
私は小瓶を2つ渡す。
1つは緑色の万能薬でもう1つは紫色の魔盲薬だ。
「これは……」
「治療用の万能薬と、呪い用の魔盲薬だ」
部屋の皆が全員、魔盲薬の名で驚く。
「魔盲薬は伝説の中に、出てくる薬では無いか、何故ここに」
「作った」
私は事なさげに答えると、周りは呆れ返る。
因みに説明すると、万能薬は分かるだろうが、魔盲薬とは一定時間、魔力の供給をストップさせ、魔力を無くす薬だ。
「そんな事よりさっさと飲ませろよ」
レイジンは何か言いたそうだが、王妃に薬を飲ませる。
これで一安心だが、この話にはまだ、裏があるのだった。
何で先王こうなった、もっとカッコいい賢人みたいな性格にする予定が変な性格に、普段はきっとしっかりしてるんです。(遠い目)